アインクラッド 後編
凶兆
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る。なるほど、確かにそのレベルの話であれば、このアインクラッドで真っ先に彼女の耳に入るだろう。――だが。
「何故俺に? それも、わざわざこんな場所で、だ」
仮にアイテム発見の報せが事実だったとすれば、それはもう攻略組で緊急会合を開いて対処方法を議論するレベルの大事だ。間違ってもこんな場所で雑談のタネにするような話ではない。
その疑問に答えたのはアルゴだった。
「“可能性”って言ったダロ? まだ確定したわけじゃなイ」
「はい。正確には、『ハンドルネーム、外見の変更効果を“匂わせる”アイテムが報酬となっている可能性があるクエスト』が発見されたというものです。さすがにこれほど信憑性の薄い情報では会議など開けません。……ですが、かといって放置するわけにもいきません」
「……なるほどね」
今聞いた限りでは、彼女たちの言うことにも一理ある。マサキは小さく唸り、椅子の背もたれに背中を預けると、その先を想定しつつも敢えて尋ねた。
「それで、俺に何をさせる気なんだ?」
「マサキさんには、わたしと一緒にそのクエストに挑戦してもらいます。前情報によればそのクエストはかなりの高難度クエストのようですが、現状の不確実な情報だけでは大規模な人数を動員はできませんし、今の段階であまり話を広げすぎると、話に尾ひれがついて一般プレイヤーの間に広まり、徒に恐怖を煽ってしまうリスクもあります。ですから、少数の高レベルプレイヤーで調査に努めるべきと判断しました」
「話が読めんな。高レベルプレイヤーなら、それこそ血盟騎士団に幾らでもいるだろう」
「はい。ですが、我々だけで秘密裏に調査を進めた場合、他のギルドから協定に反して情報を独占、隠匿しようとしているとの謗りを受けかねません。しかし、他のギルドを交えて調査チームの人員を協議している暇もありません。念には念をという言葉もあります。仮にこの情報がレッドギルドにも漏れていた場合、彼らがそのアイテムを求めてやってくる可能性も――」
「……部下に人を斬らせるのは忍びない、か?」
「――ッ!!」
マサキがアスナの言葉に被せて言い放つと、アスナのぱっちりとした両目が見開かれた。その表情には、最早隠しきれない動揺が浮かび上がっている。マサキは薄ら笑いを浮かべ、言葉を続けた。
「よく分かったよ。なるほど、キリトじゃなくて俺が選ばれるわけだ」
「な、どうしてそこでキリト君が――!!」
ダンッ、と両手をテーブルに打ち付けて立ち上がるアスナ。その瞳から目を逸らさずにじっと見据えていると、徐々に彼女の目の奥に落ち着きの光が取り戻されてくるのがよく分かる。アスナもマサキの顔を鋭い眼光で捉え続けると、やがて絞り出すように発した。
「……受けて、いただけますか?」
「……いいだろう。大手ギルドの
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