第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#49
FAREWELL CAUSATION\〜Abstinence Paradox〜
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…
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッッッッッ!!!!!
一抹、スベテを染める光が弾けた後、ふたりはそこにいた。
もう二度と、還る事はない、故に離れる事も決してない、
永遠の絆がそこに在った。
『Gu……Ga…………luuu………………』
アノ雄々しき姿が見る影もない、数百年の時の流れが一瞬で過ぎたような、
朽ちた躯で獅子は彼女に抱かれていた。
「お兄様……アレほど……申しましたのに……」
押してはいけない、入ってはいけない、潜り込んではいけない。
幾つも甦る追想。
「アレほど……申しましたのに……!」
いつもいつも、勝手な事ばかり。
冷たい、この躯から感じるのは、 “抜け殻”
存在の消滅、生命の消滅、なのに、どうしてこんなにも――!
紅世の徒、 “愛染自” ソラト。
『欲望の嗅覚』 の名が示す通り、ただ己の恣に行動する、ソレが彼の存在だった。
そして、その欲望には限りがない、充たされるというコトは決してない、
望めばもっと渇き、渇けばもっと望む、弱者の煩悶に同じく、
囚われれば己も相手も諸共に崩れていくモノ。
だから彼女が傍にいた。
意味なく生まれてくる者など、滅ぶために存在する者など、
何一つとしてこの世にないのだから。
尽きる事のない欲望ですらも、ソレは優しくスベテを包み込む、
無から有が生まれるように、存在しない者にも伝わっていく。
本来の 『運命』 を変えたもの、茫漠たる時の流れに飛沫を落としたもの、
それは、彼女の純粋な想いで在った。
紅世の徒、ソラトが最初から、最後まで望んだものは、
温かい 『彼女の笑顔』 だったのだ。
紅世の徒 “愛染自” ソラト 完全消滅。
迷い子の足音、消えた。
でもこれで、ずっと一緒。
永遠に離れる事はない。
架かる虹の向こう。
もう二度と触れ合えなくても、あの日のように笑えなくても。
それでも、 『運命』 は、他に誰もいない場所へ、二人だけの場所へ。
双命を運んだ。
“愛して得るのは最上であり、喪うのはその次に善い”
真実の想いだけが紡ぎ出す、本来両立し得ない概念。
贖いようのない究極の絶望の中、彼女は 『幸福』 だった。
苦しみ救われぬ永劫の虚無の中、確かに彼女は 『幸福』 だったのだ。
「誇り高き紅世の徒 “愛染他” ティリエルッッ!!」
掻き抱いた腕に何も遺らぬ少女の背後から、
鳳鎧を纏った少女が大刀を揮り挙げる。
相手を称賛
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