−Generation neXt−
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『……卒業生代表、黒崎遊矢』
ダークネスとの決戦の折、成り行きでなった卒業生代表だったが、それでも役目は果たす必要がある。卒業生の答辞を読み終えると、緊張から解放されたことに胸をなで下ろしながら、マイクを鮫島校長に返していた。
『では、話はこれぐらいに。パーティー会場へ移動しましょう……卒業生の皆さんは、アカデミアで過ごす最後の日です。楽しんでいってください』
そう、鮫島校長の言った通り、今日は……俺たちがアカデミアで過ごす、最後の日となった。
「卒業おめでとう、遊矢」
「……三沢」
思い思いの感情を浮かべながら、生徒たちは用意されたパーティー会場に向かっていく。そんな中、スーツ姿の三沢に声をかけられ、俺は生徒たちの列から外れていく。
「何が卒業おめでとう、だ。他人事みたいに」
「実際、他人事のようなものだからな」
二年生の際にアカデミアから離れ、ツバインシュタイン博士の助手となった三沢は、確かにもはやアカデミアの学生ではない。俺たちより遥かに早く自立していった親友に、小さく笑いながらある物を投げつけた。
「これは……」
「他人事じゃないんだよ。クロノス先生からだ……卒業おめでとう、三沢」
三沢に渡したものは、クロノス先生から託された卒業証書。アカデミアからただ去るのではなく、「卒業」したという証のソレに、三沢は珍しい目を白黒させていた。
「まったく……適わないな、クロノス先生には」
「ああ、最高の先生だ」
「そうだな……さて、遊矢」
そうしてひとしきり笑った後、三沢は真面目な表情に戻ると、自らの背後を指差した。まるで俺が何を求めているのか、分かっているようだった。
「あいつなら向こうに行った……そう簡単に負けるなよ?」
「ああ!」
最後にそう言葉を交わして、俺は振り向くことはなく三沢と別れた。パーティー会場に向かう列からも外れた俺が向かったのは、今は誰もいない筈のアカデミアの本校舎。その中でも、デュエルキング・武藤遊戯の当時のデッキのコピーが保管されている部屋から出て来た、真紅の制服を着た人物が目当てだった。
「……遊矢?」
「よう、十代。やっぱりパーティーには参加しないで、どっか行く気だったな」
そう決めつけるように言った俺の問いは図星だったようで、十代はばつが悪そうに顔を背けた。とはいえ、そんなことは仲間の中で分かっていない人物はおらず、それが十代の選択ならば受け入れてやる、というのがみんなの総意だった――俺以外はだ。
「……ダークネスとの戦い、俺はトドメを刺しただけだった」
世界を救ったあのタッグデュエルにおいて、ダークネスの切り札をことごとく破っていったのは、俺ではなくどれも十代だった
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