ファンディスク:神話と勇者と断章と
ピース・オブ・レイ
ディザイアネス・グレゴリオ
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いレベルを有していた。話をよく聞くとどうもリアルでも面識があるような感じだった。シャノン/天宮陰斗の妹、天宮刹那の事を知っていたぐらいなのだからそうなのだろう。
セモン、ハザード、シャノンはリアルの知り合い。ゲイザーはシャノンと知り合い。もう一人、セモンの所属する、このギルド《聖剣騎士団》のメンバーには、コハクという槍使いの少女がいるが、彼女とはリアルでも知り合いではない……はずだ。時々ハザードが「本当に覚えていないのかお前」と呆れたような表情で問うてくるが、分からないものは分からない。セモンは昔の事はあまり覚えない主義なのだ。
――話が逸れた。
ともかくゲイザーは凄腕の体術使いであると同時に情報屋でもある彼が、そんなことを口にしたのだから、シャノンが急に歌うようになった理由も分かるかもしれない。
ところで。
「『ウタちゃん』? ……誰ですかそれ」
聞きなれない名前が出てきた。
ゲイザーはああ、と、無表情のまま頷く。
「『歌エンチャンター』の略だよ。《吟唱》なるエクストラスキルを習得している、ある女性プレイヤーの称号というか、二つ名だな。今は綽名の様に使われていると聞く。まぁ、一種のアイドルと言うか、吟遊詩人というか」
《吟唱》。SAOには音楽に関係するスキルがいくつかある。確かシャノン自身もなぜか《盤奏》なるスキルを習得していた時期があるが、今もスキルスロットに入っているのかは分からない。
しかしまたエクストラスキルか……と思案する。となるとシャノンの興味を引くのもなんとなく分からなくはない。
「はー……で、シャノンの歌っているのがその『ウタちゃん』の持ち歌だと?」
「そうだな。よく聞いてみると分かるが、NPC楽団が演奏しているBGMに歌詞を付けたモノだぞ」
「――――あ、本当だ」
今シャノンが歌っている曲のリズムは確かに聞き覚えがあった。確かアインクラッド第二十五層主街区、《ギルドシュタイン》のNPCたちが演奏するBGM。シャノン曰く中世のリューベックだかロンバルディアだか、そんな名前の都市と似たような景観だとかいうその街は、ギルドの本部を置くのに適したたしかに中世ヨーロッパ風の都市なのだが、ものものしい街名とうらはらにBGMはのどかで田舎っぽいのを覚えている。
なるほどここで謎の一部は解けた。
シャノンはアイドルとかそう言うのが嫌いな部類の人間に入るのだが、なるほどゲームBGMの流用ともなれば熱を上げるだろう。彼は聖歌好きであると同時に、かなりコアなゲームBGM好きだ。歌詞つきの歌を好まないシャノンだが、もともとは歌詞が付いていなかった曲に歌詞を付ける、という行いは非常に好む。自分ではやらないが。「そういう才能は僕にはなくてねェ
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