暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
The biter is bit
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》人間だからである。

一つの物語のヒロイン。

新米の一部は違えど、隊の古参全員がそう言った経緯で入隊しているからこそ、あの少年のやることには口出しはできない。否、したくない。

なぜなら、そういった行為で救われたのが自分なのだから。

―――この依存性も、その絶対的な肯定も、危ういんは判ってる。

耳元で吹き荒ぶ風音に目を細めながら、ヒスイは思う。

けど。

だけれど。

―――あて達から依存はできるけど、逆はない。共依存の関係性には絶対にならない。

あの子は他人(ひと)を頼らない。

戦場で背中は預けるだろう。どうしても時間が間に合わない書類は頼み込んでくるだろう。

だが、それだけだ。

あの少年は潜在的なレベルで、他人を頼るということをしない。

ここで語弊が生じないよう断っておくと、この場合の頼らないというのは、信頼をしない、とイコールではない。

むしろ逆。

彼は一度仲間、あるいはそれに近い《ナニカ》と決めた相手には、気持ち悪いほど心を許す。その様はまるでスイッチを切り替えたように、路傍の土塊を見るようだった眼が、急に愛玩動物のそれになるのだ。

きっと彼は、仲間に刺されたとしても、()()()()()()()()()()()、という理由で一切の痛覚を無視した笑顔を浮かべるだろう。

そして言うのだ。

そんなに強く握りしめて大丈夫?痛くない?と。

「――――さん、ヒスイさん!大丈夫ですか?」

「ッ」

右隣を走っていた補佐の少女が、心配そうな顔でこちらを見ていた。顔をのぞき込んだり、肩を叩いたりしたくとも、両方巨狼に乗っているのだからそれも叶わないのだろう。

知らず、キツく閉じていた目蓋をこじ開け、心配ないと手を振り返す。

安心したように胸をなで下ろす彼女に苦笑を漏らしながら、ヒスイは下目になりがちだった顔をしっかり前へと戻した。

細かい事を考えるな。今は目の前のすべき事に集中するだけだ。

―――そうや。あては……あたしは、あたしのやりたいようやるだけや。

しかし彼女は気付かない。

あの少年に関することを、細かいと形容する時点で、すでに自身も相応に壊れてきているということを。
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