暁 〜小説投稿サイト〜
とある3人のデート・ア・ライブ
第十章 仮想世界
第13話 揺れる心
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奈に気づくはずがない上条は構わず鞠奈にピザまんを口元まで持って行く。

その鼻をくすぐるようないい臭いに鞠奈の中で葛藤が起こる。誘惑に負けて目の前にある肉まんを食べるべきか、それとも我慢して誘惑に勝つべきか。

鞠奈「(……これは、究極の選択!)」

なにを大げさな、と思うかもしれないが、鞠奈にとってはこれは重要な問題だ。一人でいるときなら迷わず食べていただろう。多少はしたない姿だろうとそれは見られなければ関係ない。鞠奈は自分の好奇心に身を任せて食べていただろう。

だが今は上条が隣にいる上に上条の食べかけのピザまんなのだ。そんな恋人みたいなこと恥ずかしくて出来るわけがない。そもそも鞠奈は他人に対してあまり素の自分を見せないことにしている。あまり慣れ慣れしくされるのも嫌だし、そもそも自分は‘人間’じゃないから。

では何故今自分はこんなことで葛藤しているのだろうか。以前の自分なら迷わず断っていただろうに……。

ピザまんの誘惑に負けそうになっているから?



本当にそれだけ?



上条「……?どうしたんだ?」

鞠奈「ひゃっ!?」

考え込んでいた時に隣から急に話しかけられ、身体を震わせる。横をチラッと見ると上条が心配した様子で鞠奈の顔を覗き込んでいる。

もう鼻と鼻がくっつきそうな距離まで来ていることに気づき、鞠奈は不覚にもドキドキしてしまった。

上条「ん?顔赤いぞ?熱でもあるのか?」

鞠奈「――ッ!?だ、大丈夫よ!貴方に心配される必要なんてないわ!もうピザまん食べればいいんでしょ食べれば!!」

もう最後はやけくそだ。

上条は「なんでここでピザまんが出てくるんだ?」と首を傾げていたが、鞠奈が美味しそうにピザまんを食べるのであまり気にしないことにした。

鞠奈は未知の食べ物の味に先ほど肉まんを食べた時のような感動を覚えた。

上条「んで話の続きだけど……」

鞠奈「あーそうだったわね。どこまで話したっけ?」

上条「お前が管理AIを奪うやり方まで聞いた。でもその先の目的が分からないんだよ」

鞠奈「そんなの決まってるでしょ。私が外に出たいからよ」

上条は自分が聞きたいことを答えてくれなくて少し考えた。

上条「……じゃあ質問を変える。お前はなんでフラクシナスに攻撃なんかしてきたんだ?」

その問いに、鞠奈は黙り込んでしまった。どこか考え込むような……仕草をしていたが、その瞳には迷いが見られた。

上条「……鞠奈?」

上条が心配するように声を掛けると、鞠奈は意を決したように答えた。

鞠奈「これは、お父様の命令だったの」

そういえば最初にも言っていた。鞠奈はお父様から貰った名前だと。

上条「さっきから気になっていたんだけど
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