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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
巡航艦ツェルプスト〜ヨハン・マテウスの回想
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話している。ワーレン少佐の顔が青褪めてきた。

やばいよ、ワーレン少佐が青褪めるって一体どんな話だよ。俺は隣に居る奴の顔を見た。こいつも青褪めている。いや、全員不安そうにしている中で、お嬢だけが笑みを浮かべている。おかしい、どっかおかしいぜ、これ。

「何だ、一体、何故俺を見る? 俺をどうするつもりだ」
「いえ、ワーレン少佐が乗組員全員を殺すのは嫌だと言うのですよ。ですから誰か一人に全ての罪を背負って死んで貰おうと言っているんです」

今度はバルツァー船長に全ての罪を擦り付けて終わりにしようとお嬢が言い出した。
“冗談は止めろ、そんな事が許されるのか”
“ふ、ふざけるな、そ、そんな事が、ゆ、許されると思っているのか”

バルツァー親父は抗議しているけど誰も彼を助けようとはしない、ワーレン少佐も沈黙したままだ。そんなバルツァー船長をお嬢は冷笑を浮かべながら見ている。怖いよ、こいつ、マジで怖い。

「貴官の名前は?」
え、俺? いきなり何? 勘弁してくれよ。
「ヨ、ヨハン・マテウス二等兵です、ヴァレンシュタイン司令」

「マテウス二等兵、私はバルツァー船長が嫌いなのですが、貴官はどう思います?」
「は、はい、小官も嫌いであります」
もちろん嫌いだよ、お嬢が嫌いな物は俺も嫌いだ。ピーマンもレバーも嫌いだし、好きなものはココアと甘いものだ。俺はお子様でいい。

「気が合いますね、マテウス二等兵。名前と顔はしっかりと覚えましたよ」
「はっ、有難う御座います」
覚えなくて良いから、御願いだから覚えないでくれ。それとニコニコ笑うのは止めてくれよ、怖いんだよ、あんたの笑顔。マジで怖いんだ、小便チビリそうだよ。

「ところで、私はバルツァー船長は死ぬべきだと思っているのですが貴官はどう思います?」
バルツァー船長がギョッとした表情になって俺を見ている。何てこと訊くんだよ、勘弁してくれよ。俺が自分も同感ですって言ったらどうなんだよ? この人殺されちゃうの? 一生俺トラウマになるぜ。ワーレン少佐、助けてくださいよ。

「ワーレン少佐が気になりますか、マテウス二等兵。大丈夫ですよ、ワーレン少佐はもう直ぐ昇進して異動です。遠慮せず、本当の事を言ってください」

お嬢が優しい声で話しかけてくる。怖いよ、何だよそれ、俺達の事怒ってるの? お嬢って呼んで馬鹿にしてるって……。ワーレン少佐が居なくなったらどうなるか分かってるのか、そう言う事? 今自分に味方すれば許してやるがどうする? そう訊いてんの? 勘弁してくれよ。

「ヴァレンシュタイン司令」
ワーレン少佐が止めに入ってくれた。助かった、有難うございます、ワーレン少佐。少佐は命の恩人です。マジで感謝です。

そこから先はお嬢がバルツァー船長を脅しまくって終わった。軍
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