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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
御落胤 (その2)
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させた。
「こ、この悪党め、何と言う嫌な奴じゃ。卿などヨルムンガンドに食われてしまえ!」
リヒテンラーデ侯の罵声を聞きながら、ヴァレンシュタイン元帥はにっこりと笑うと
「それでは皆さん、祖父をよろしくお願いします」
と告げ、マントを翻して謁見室を出て行った。
「ええい、何といやな奴じゃ。腹の立つ、これも、あのヒルデスハイムの阿呆のせいかと思うと更に腹が立つわい」
「閣下、少し落ち着きませんと」
「何を落ち着くのじゃ、ゲルラッハ子爵。陛下、本日の謁見は終わりにいたしますぞ」
「うむ、善きに計らえ」
「ゲルラッハ子爵、午後の閣議は卿が取り仕切れ。私は家に帰る」
「帰るのでありますか?」
「おお、そうじゃ。文句があるか、ゲルラッハ子爵。不貞寝じゃ、陛下とあの小僧のせいでの、とことん疲れたわい。宜しいですな、陛下」
「おお、たまにはゆっくり休むが良かろう。孫の事でも考えながらの」
「陛下!」
「そちが要らぬのなら予が貰うぞ」
「陛下!」
陛下はリヒテンラーデ侯の抗議を無視し大笑いをしながら謁見室を出て行った。残されたのは、怒り心頭に達しているリヒテンラーデ侯と必死に笑いを堪えている廷臣たちだった。
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