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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
御落胤 (その2)
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私のせいとは」
「ブルクハウゼン侯を嵌めるとき、台本まで作って陛下を指導したのは誰じゃ、卿ではないか。陛下がひょうきんになられたのは卿が妙な小芝居を教えたからじゃ」

リヒテンラーデ侯の言葉にヴァレンシュタイン元帥は憤然として答えた。
「確かに台本は作りました。演技も指導しました。しかし、黒真珠の間で大笑いしろなどとは書いていませんし、指導もしていません。仕事を楽しむのは結構ですが、楽しみすぎです!」

「わ、私だけではないぞ、軍務尚書も統帥本部総長も一緒だったのじゃ。何故私だけを責める。二人も同罪じゃろう」
「陛下のお傍に一番居るのはリヒテンラーデ侯です」
その言葉に軍務尚書も統帥本部総長が激しく頷く。

「とにかく、帝国軍三長官と副司令長官が呼び出されたのです。いずれ納得のいく説明をしてもらえるものと考えております。失礼させていただきます」

むっとして帰ろうとするヴァレンシュタイン元帥をリヒテンラーデ侯が呼び止めた。

「待て、まだ話は終わっておらん」
「?」
「卿の祖父は誰なのじゃ?」

「・・・・・・」
「知っておるなら言うが良い、このままだとまた陛下の孫だと噂が出るぞ。それとも言えぬ訳でもあるか」

リヒテンラーデ侯は何処か意地の悪そうな表情で元帥に問いかけた。元帥はしばらく黙って侯を睨んでいたが薄く笑うと侯に答えた。
「言っても宜しいですが、後悔なさいますぞ」

「なんじゃと」
「私の祖父の名前はクラウス・フォン・リヒテンラーデ侯爵、貴方です」
「!」

一瞬皆沈黙した。
「そうか、予ではなく国務尚書の孫か、良かったの、頼りになる孫で」
陛下の爆笑とともに出される言葉にリヒテンラーデ侯は体を震わせた。

「冗談ではありません。このような性格の悪い孫など持った憶えはありませぬ」
「そんなことはありません。私は侯に良く似ていると軍務尚書、統帥本部総長に言われました」

澄ました顔でヴァレンシュタイン元帥は言うと、軍務尚書、統帥本部総長を見た。それにつられ軍務尚書、統帥本部総長が口々に答える。
「確かに似ているとは思うが」
「うむ、似すぎるくらいにな」

軍務尚書、統帥本部総長の声にリヒテンラーデ侯は
「何処も、似とらんわ! 一体何処を見ておる」
と怒鳴りつけた。

「ご安心ください、お爺様。リヒテンラーデ侯爵家の家督が欲しいとか、養育費を払えとか、認知しろとか言いません」
「あ、当たり前じゃ! 何がお爺様じゃ、第一私は外で子供など作っておらんわ!」

「お爺様、自慢になりませんし、証人も居ません。私とお爺様が他人だと説明するのは難しそうですね。しかし、陛下の孫などと言われるよりはましでしょう」

その声に陛下がまた爆笑し、それがリヒテンラーデ侯を更に激昂
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