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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
御落胤 (その2)
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えた。ヴァレンシュタイン元帥は一つ溜息をつくとリヒテンラーデ侯に話しかけた。
「リヒテンラーデ侯、一体何が有ったか詳しく説明してもらえますか、帝国軍三長官、それにローエングラム伯まで此処に来ているんです」

リヒテンラーデ侯は渋々といった表情で事の顛末を話した。ヴァレンシュタイン元帥は呆れたような表情をし、エーレンベルク、シュタインホフの両元帥、ローエングラム伯は半信半疑な顔をしている。

「嘘なのですか、元帥」
「嘘ですよ、財務尚書。そんなことはありえません」
「しかし……」

「グリンメルスハウゼン子爵は今生きていれば七十八のはずです。母は四百四十一年に生まれました、今から四十六年前です。つまり子爵は当時は三十代前半、祖母の傍に居た四十代の男性とは明らかに別人です」

なるほど確かにそうだ、やはり嘘なのか、思わず陛下を見る。
「違うの、それはグリンメルスハウゼンじゃ、あれは歳より老けて見えたからの、三十代前半の頃は既に四十近くに見えた」

平然と陛下が言い放った。確かにグリンメルスハウゼン子爵は歳より老けて見えた。ではやはり本当なのだろうか。
「陛下、そろそろ止めませぬか。皆に御謝りください、冗談がすぎますぞ」

「リヒテンラーデ侯、ではやはり嘘なのか」
ブラウンシュバイク公が腑に落ちない表情で問いかけた。

「陛下の御戯れじゃ。グリンメルスハウゼン子爵は確かに歳より老けて見えたかもしれん。じゃが子爵は侍従武官の職にあった。そうそう簡単に陛下の元を離れ、元帥の祖母の元に行く事が出来たとは思えん。周囲の目に付いたという事はかなりの頻度で行ったということじゃ、ありえぬことよ」

なるほど、確かにそうだ。侍従武官が度々陛下の元を離れていては職務怠慢で咎めを受けよう。となるとやはり元帥は陛下とは血のつながりは無いのか。

「その通りです。私は陛下とは何の関わりも有りません」
「陛下、元帥の言うことに間違いありませぬな」
リヒテンラーデ侯が念を押す形で確認を取った。

「ヴァレンシュタインの言う通りで良い」
「? 陛下それは一体……」
「ヴァレンシュタインが孫だと言うなら孫よ、違うと言うなら違う、そういうことじゃ」

「陛下、それでは……」
「良いではないか、予は孫に甘い爺なのじゃ」
そう言うと陛下は大笑いした。

そんな陛下の姿を苦い表情で見ていたヴァレンシュタイン元帥が国務尚書に言葉をかけた。
「リヒテンラーデ侯、陛下がこんなにもひょうきんになってしまわれたのは侯の監督不行き届きのせいです。侯が陛下を甘やかすから・・・・・・」

その言葉にリヒテンラーデ侯がむっとして言い返した。
「私のせいだと言うか。大体陛下がひょうきんになられたのは卿の責任であろう」

「どういうことです。
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