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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
御落胤 (その2)
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・ヨーゼフ殿下には有力な後見はいない。おまけに未だ幼く政治など自分ではできない。後見に付くとすればリヒテンラーデ侯だが、それは外戚に政治を自由にさせることを恐れたためだった。
もしヴァレンシュタイン元帥が皇族と認められた場合、それでもエルウィン・ヨーゼフ殿下の後見につくだろうか? そうではあるまい、むしろ元帥とともに前へ進むのではないだろうか?
ブラウンシュバイク公も自分だけが椅子に座っている事に気が引けたのだろう。立ち上がり、椅子を女官に片付けるように指示を出した。
「マリーンドルフ伯、参りました」
「おお、伯か、そちに聞きたいことが有る」
足早に謁見室に入り、ひざまづいたマリーンドルフ伯に対し陛下が尋ねた。
「ヘレーネ・ヴァレンシュタインを知っておるな、どのような娘であった?」
「娘? 彼女はヴァレンシュタイン元帥の母親ですが……」
「似ておるのか?」
マリーンドルフ伯は陛下の問いに困惑しながら答えている。
「髪の色、眼の色は違いますが、それを除けばよく似ています」
「そうか、髪の色は金、眼は青じゃな」
「はい」
「ヘレーネはフレイアに似たのじゃな。一度でよい、この腕に抱き締めてやりたかった……」
陛下の言葉に女官たちの間ですすり泣く声が聞こえた。
「エーリッヒ・ヴァレンシュタイン、火急のお召しと聞きました」
「エーレンベルク軍務尚書だ、御免」
「シュタインホフ統帥本部総長、入るぞ」
「ラインハルト・フォン・ローエングラム、入ります」
帝国軍三長官が来た、それにローエングラム伯も。呼んだのはヴァレンシュタイン元帥だけのはずだ、例の改革の件でトラブルが起きたと勘違いしたか。陛下は入ってきた四人を見ると驚いたようだったが、直ぐヴァレンシュタイン元帥を手招きして呼び寄せた。
「おお、ヴァレンシュタイン、いや、エーリッヒ、ここへ」
「はっ」
陛下は不審そうな表情で近寄るヴァレンシュタイン元帥の傍によると両肩をつかみ元帥の顔をじっと見た。
「似ておる。やはりそちはフレイアに似ておる」
「?」
「苦労をかけたな、予がそちの祖父じゃ。そちの母、ヘレーナは予の娘じゃ」
「!」
軍務尚書、統帥本部総長、ローエングラム伯は驚いて顔を見合わせた。ヴァレンシュタイン元帥は状況が良く分からないのだろう、不思議そうな顔をして陛下を見ている。
「陛下、それは一体何の冗談です」
「冗談ではない。予はそちの祖父なのじゃ」
ヴァレンシュタイン元帥は少し困ったような表情をしてこちらを見た。
「大体何が有ったか想像がつきますが、リヒテンラーデ侯、まさか侯まで信じたのではないでしょうね」
「いや、まあ嘘じゃと思ったがの・・・・・・」
リヒテンラーデ侯も少し困ったような表情で答
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