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FAIRY TAIL ―Memory Jewel―
第1章 薔薇の女帝編
S t o r y 1 1 ルギアル・シークティウス
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「ぅ…ぁ、う……」

まだ困惑しているモカに向かって、イブキは指や首の関節をバキッと鳴らしながら言う。暗い地下牢屋に咲く、1本の小さく儚い黄色い薔薇を見つめる紫と赤のオッドアイは、今すぐにでもその薔薇を刈り取ってしまうほど鋭い光を帯びていた。イブキの眼光の鋭さにビクッと肩を震わせながらも、モカはギュッと固く目をつぶり叫んだ。

「モ、モカはまだ、負けてないもん!悪い妖精を倒して、皆に褒めてもらうんだもん!」

そう叫ぶと、モカは右腕をなぎ払うように振るって魔法陣を展開させ、先の尖った葉や枝、さっきよりも太い茎を出現させ攻撃を仕かける。が、モカの攻撃は虚しく、イブキが両腕を広げたのと同時に炎が噴き出し、あっという間に植物は燃え尽きてしまった。そして炎は地下牢屋全体に広がりはじめる。

「あ……熱い……」

イブキが“敵”や“危険物”と認識したものだけを焼き尽くす炎の熱さはモカしか感じないため、ウェンディとシャルルは平然としている。

「往生際の悪いガキだな。植物は炎の前では成す術もない。それどころか、風を魔法を使うウェンディがいればこの炎は更に威力を増す。炎と風の相性はバツグンだからな。しかも、この炎は特殊だから、俺が認識したものだけを焼き尽くす。つまり……お前等薔薇の女帝(ローゼンエンプレス)はこの屋敷ごと全員焼け死ぬぞ。」
「う、ひっく……ぅ、うぅ………」

イブキは正論を次々と述べていく。モカは遂に泣き出した。

「あ、あのイブキさん……さすがにちょっと言いすぎじゃ」
「ア?お前、いくらコイツが自分より年下でチビっ()だからって優しすぎだろ。俺達はコイツに石にされて変なところに売り飛ばされるトコだったんだぞ。」
「た、確かにそうですけど……ほ、ほら!結局は私達の勝ちですし!ね?」
「それに、アンタ小さい子相手にムキになりすぎよ。」
「うっせーーーーー!チビっ()だろうがなんだろうが俺達の敵なんだよコイツは!」

ウェンディが宥め、シャルルの言葉にイブキは声を荒げる。空を見てウェンディは面白可笑しそうに小さく吹いた。

「……ったく、しゃーねェな。ウェンディとシャルルに感謝しろよ。」
「……モカはまだ負けてないのに」
「メンドくさいガキだな。ささっと行くぞ。」

頭を掻きながらイブキは部屋中を覆い尽くしていた炎を消した。そしてモカの首根っこを掴んで持ち上げると背中に背負う。

「わっ!ちょ、何するのー!下ろしてーーー!」
「喚くな。エルザ達と合流したら、お前の仲間と一緒に評議員の堅物達に突き出してやる。それまでに抵抗したりすると、今度こそお前のこと燃やしてやるからな。」
「ヒッ……!」

駄々をこねるモカに向かって、イブキは鋭く尖った牙を覗かせながら舌舐めずりして言う。
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