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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
御落胤 (その1)
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。ヒルデスハイム伯、空気を読んでさっさと本題に入れ。だがこいつの挨拶は無駄に長かった。アホ貴族ほどナルシストで空気を読むことが出来ない。困ったものだ。
「ヴァレンシュタイン元帥のことでございます」
「元帥がどうかしたかな」
「お叱りを覚悟でお尋ねいたしますが、元帥は陛下の御血を引いてはおりませんでしょうか?」
アホ貴族は挨拶をようやく終えたと思ったらとんでもない事を言ってきた。執務室に沈黙が落ちる。何を言った? 元帥が陛下の血を引いている? つまりなにか、陛下の隠し子? そういうことか。
陛下は苦笑し、リヒテンラーデ侯は溜息を吐いた。クラーゼン、ラムスドルフは冷たい眼でヒルデスハイム伯を見ている。要するにあれか、平民である元帥に対して陛下の御信頼が厚いから、本当は隠し子ではないかという事か……。際限の無いアホだな、だんだん疲れてきた。
「面白いの、元帥が予の息子という事か。予が外で作った子という事じゃな。自慢の息子じゃ、良くぞ作ったと言うところかの」
「陛下、御戯れはなりませんぞ。ヒルデスハイム伯、たわけた事を申すな、控えよ」
上機嫌な陛下とヒルデスハイム伯に対して、リヒテンラーデ侯が不機嫌さを押し殺した声で注意した。最近の陛下は闊達と言うか、臣下の突拍子も無い話を面白がる所がある。しかし、御血筋の問題となれば、皇位継承にも関わる。ふざけてよい話ではない。
「良いではないか。ヒルデスハイム伯、何ゆえそのような事を考えたのじゃ」
「はっ、元帥の母方の祖父がはっきりしませぬ。それゆえ或いはと愚考いたしました」
まさしく愚考だ。お前などヨルムンガンドに食われてしまえ。そのくらいしか役に立つまい。
「なるほど、予の息子ではなく孫か……。予も品行方正とは言えぬ、若い頃は無茶もした。孫の一人くらいおってもおかしくないの。で、元帥の祖母の名はなんと言うのじゃ、予の知っておる娘かの」
陛下は楽しそうにヒルデスハイム伯に問いかけた。リヒテンラーデ侯は仕方ないと言ったような表情でこちらを見てくる。確かに仕方が無い、こうなったら陛下のお遊びに付き合うしかない。
「されば、フレイア・ラウテンバッハと言う名に御憶えは御座いましょうか」
「……」
「?」
ヒルデスハイム伯の質問に対し陛下は沈黙している。先程までの上機嫌な表情は消え、何処と無く困惑したような表情がある。どういうことだ、まさか、本当に憶えがあるのか? 思わず、リヒテンラーデ侯を見た。侯は陛下の顔をじっと見ている。
「陛下、御戯れはなりませんぞ」
リヒテンラーデ侯が低い声で陛下に注意した。なるほど、陛下の御戯れか、それなら分かる。だが陛下はその声に注意を払うことなく躊躇いがちに声をかけた。
「ヒルデスハイム伯、フレイア・ラウテンバ
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