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マイ「艦これ」(みほちん)
第19話(改1.8)<白い闇>
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保に着任した指揮官も、この狭さに我慢ならなかったのだろう。

それから脱衣所と浴室を確認した。今日は疲れたから湯船は有難い。水の制限が無い陸上(おか)の宿所は(フネ)より快適だ。

念のために浴室内を確認をすると、やはりタオルや石鹸など必要なモノは全て準備されていた。
(祥高さんを支える鳳翔さんは、きっちりしているな)

 取り急ぎ今夜は来客もないだろう。私は早々に入浴することにした。
蛇口を見ると、お湯と水と両方あった。さすが鎮守府らしい。

(これなら直ぐに入れそうだ)
ホッとした私は腕時計のベゼルを廻して残り時間を合わせる。お湯の蛇口を回すと一旦、応接室に戻ってソファに腰をかけた。

「はあ」
疲れがドッと出た。

 そういえば艦娘たちにも修理や整備をする入渠(にゅうきょ)施設がある。外見は『お風呂』だが彼女たちには『修理』だ。

もちろん立派な『女湯』なので上官と言えども『男子禁制』である。これを設置しないと艦娘を艦隊に組み込むことは出来ない。それが煩わしいと艦娘を敬遠する提督も少なくない。

祥高さんの説明する顔が浮かぶ。
『作戦指令だけでなく入渠のタイミングや、そのための資材運用も司令の重要な任務です』
『それは面倒だな』

彼女は頷く。
『この鎮守府には今のところ運用資材を大量消費する艦娘は居ません。しかし今後、配備される艦娘によっては<大食い>の艦娘が来ることも予想されます』

『大食い?』
確か正規空母は、よく働くが大メシも喰らう。直ぐに一航戦の『赤城』や『加賀』が思い浮かんだ。艦載機を運用するから当然だろう。

(だが彼女たちは海軍の主力だ。こんな僻地に来ることは無いだろう)
艦娘のご機嫌取りも司令の重要任務なのだ。海軍始まって以来の艦娘だけの鎮守府の指揮官は意外に大変そうだ。

 十分と経たないうちに私はサッと入浴した。まだ湯船は一杯ではないのだが、つい素早く済ませてしまうのは船乗りの習性だ。

寝室から夜空を見ると月は既に三日月だった。私は、そのままベッドに倒れ込む。

寝入りばなに、どういうわけか茶色い蜂に追い掛け回される夢を見た。
(弓ヶ浜で襲ってきた敵の戦闘機だろうか)

ウトウトしているうちに私は深い眠りに落ちていった。

 気付くと私は荒れ狂う冬の日本海に居た。そこは忘れもしない、あの『白い海』だった。

(まさか?)
数十メートル先の海上に茶色い髪をやや振り乱した艦娘らしき少女が立っていた。(かす)かに見覚えがあるがハッキリ思い出せない。

ただ彼女の鬼気迫る姿にも関わらず私には不思議と恐怖は感じなかった。
むしろ懐かしさと同時に心を掻きむしる哀しみが伝わって来た。

(大きな目をした彼女)
思い出せない。型式から軽巡
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