第五章
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「そなたをそなたに相応しい場所に招く為にな」
「それが聖杯城で」
「来てくれるか」
「騎士は存在しているのですか」
まずはこのことからだ、キホーテは言った。
「そしてそのうえで」
「そなたは永遠にだ」
「聖杯城で騎士として生きる」
「そうなるのだ」
「有り難きお言葉」
キホーテは感涙していた、その涙と共にパルジファルに応えた。
「ではこれより」
「さあ、この槍の力を受けるのだ」
パルジファルはこれまで部屋の端に置いていた槍を再び右手に取った、そのうえでキホーテに槍の穂先を近付けた、槍は白銀の眩い光を放ち。
床に伏したままのキホーテを照らした、その光を浴びてだった。
キホーテは瞬く間に顔に生気を取り戻してだ、床から身体を起こして言った。
「何と、再び起き上がることが出来るとは」
「旦那様、お元気になられましたか」
「この通りだ」
パンサにも答えた。
「身体に力がみなぎってくる」
「そうなのですか」
「その槍はまさか」
「ロンギヌスの槍だ」
キリストを刺殺した槍、その槍だとだ。パルジファルはキホーテに答えた。
「この槍の力は知っていよう」
「あらゆる邪を滅ぼし傷も病も癒す」
「その槍の力を今使った」
「それが為に」
「そなたは再び起き上がることが出来たのだ」
「そしてそのうえで」
「来るのだ、聖杯の下へ」
パルジファルは微笑みキホーテに告げた。
「いいな」
「わかり申した、ではこれより」
「支度をするのだ」
「はい」
キホーテは床から出てパルジファルの前に片膝を付いてだ、そのうえで誓いを立てた。パルジファルはその彼の肩に剣の腹を当てた。
そうしてだ、キホーテはパンサに顔を向けて言った。
「わしの鎧と盾、槍をだ」
「剣もですね」
「そうだ」
その全てをというのだ。
「持って来るのだ」
「そしてその全てを」
「すぐに身に着ける」
こう言うのだった。
「着ける手伝いをせよ、よいな」
「わかりました」
パンサも頷いてだ、そうしてだった。
彼はパンサが持って来た甲胄に身を包み腰に剣を帯びて右手にランス、左手に盾を持った。そのうえでパルジファルに言った。
「全て整いました」
「よし、それではな」
「いざ聖杯の城へ」
こう言ってだ、パルジファルと共に外に向かう。部屋を出る時にパンサと僧侶達に顔を向けてそのうえで
笑顔で言った。
「行って来るぞ」
「はい、聖杯の城でお元気で」
「騎士として生きる」
パンサに答えた。
「そうしてくる」
「是非そうされて下さい」
「そしてそなたもな」
「はい、時が来れば」
「またわしの供をするのだ」
「是非共」
パンサも笑顔で応えた。
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