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蝸牛
第二章

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「それではじゃ」
「共に蝸牛を探そうぞ」
「そうしようぞ」
 二人でお話してです、蝸牛を探そうとしますが。
 そこで二人は修行を再開しようとした山伏を見ました、すると。
 次郎冠者がです、太郎冠者に山伏達を指差して尋ねました。
「あれではないか?」
「あれか?」
「見よ、背負っておってじゃ」
 山伏が背負っているものを見ての言葉です。
 そして頭に付けているものを見ても言いました。
「頭に角があるぞ」
「一本じゃぞ、角が」
「主殿は二本あると言っておられたか」
「いや、言っておられぬ」 
 太郎冠者は主の説明を思い出して次郎冠者に答えました。
「別にな」
「ではじゃ」
「角が一本でもか」
「よいのではないか?」
「それもそうか」
「そうじゃ、そしてじゃ」
 次郎冠者はさらに言います。
「山の中におる」
「ではじゃな」
「あれが蝸牛じゃ」
「ふむ、そうであったか」
「ではあの蝸牛をじゃ」
「主殿のところに連れて行くか」
「そうしようぞ」
 こう二人でお話をしてでした、そのうえで。
 二人は山伏達のところに行ってです、こう言いました。
「おい、そこの蝸牛達」
「ちょっとよいか」
 こう声をかけるのでした。
「少し御主達に用がある」
「我等と共に里まで来てくれるか」
「主殿の前に連れて行きたい」
「そうしてよいか」
「何っ、蝸牛?」
「蝸牛が近くにおるのか?」
 山伏達は二人の言葉を聞いて最初こう思いました。
「まあ山の中じゃとな」
「その辺りに幾らでもおるだろう」
「特に珍しいことではない」
「そうじゃな」
「よいか?」
「少し来てくれるか?」
 二人は山伏達にさらに声をかけます。
「主殿の屋敷までな」
「そうしてくれるか」
「待て、我等にか」
「御主達我等に用があるのか」 
 山伏達は二人が自分達に声をかけてきていることに気付きました、そのうえで二人に対して尋ね返しました。
「そうなのか?御主達は」
「そうであったのか」
「そうじゃ、御主達じゃ」
「御主達に用があってじゃ」 
 二人は山伏達にまた言いました。
「里まで来てくれるか」
「そうしてくれるか」
「ううむ、何用であろうか」
「祈祷であろうか」
 山伏達は二人の言葉を受けて自分達の仕事のことを思いました。
「だからか」
「それでわし等に用か」
「祈祷ならば行かねば」
「そうせねばな」
「よし、来てくれるか」
「今からな」
 二人は自分達で話す山伏達にさらに言いました。
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