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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
巡航艦ツェルプスト艦長兼第1巡察部隊司令 (その4)
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表情でケスラーが問いかけてきた。こういう実務優先の姿勢が俺は嫌いじゃない。ウルリッヒ・ケスラー、いい男だよな、頼りになるし。上司に持つならこんな男が良いだろう。
ロリコンだって欠点じゃない、俺は十分許容できる。間違ってもロイエンタールなんかは上司に持っちゃ駄目なタイプだ。部下を道連れにして破滅だぜ、酷い上司だよ。おまけに女の趣味も良くない。エルフリーデとか最悪だ。
「今、第一巡察部隊の司令をしています」
「知っている、とんだ貧乏くじだな。サイオキシンの呪いか」
全くだ。サイオキシンは祟る、俺の場合はイゼルローンの件も有るからな、祟りまくっている。
俺は地方のドサ回りなのにケスラーはオーディンの憲兵隊から動いていない。よっぽど政治力があるのだろう、うらやましい限りだ。まあ救いはドサ回りが嫌いじゃないことか……。
「良い御守りが有ったら教えてもらえますか? また妙な事件に巻き込まれました」
「妙な事件? 脅かすな、一体何が有った?」
「交易船パラウド号を臨検したのですが、トラウンシュタイン産のバッファローの毛皮、十枚を発見しました」
「!」
一瞬だが沈黙があった。スクリーンからでもケスラーが息を呑んでいるのが分かる。やばい、地雷を踏んだかと思っていると、クスクスとケスラーが笑い始めた。
「また、とんでもないものを持ち込んできたな、中佐」
「御守り、教えてもらえますか?」
「諦めるんだな、卿の役に立つ御守りなど有るものか」
そう言うとケスラーは爆笑した。俺も釣られて笑い出す。笑い事じゃないんだが。
一頻り笑った後、ケスラーが問いかけてきた。
「裏に居るのは誰かな、十枚となると賄賂用だろう」
「今それを確認しています。問題は協力者です。何処まで広がっているか……」
「宮内省に協力者が居る事は間違いないだろう。他に何か情報は無いのか?」
話が早い、さすがは未来の憲兵総監だ。ワーレンじゃこうは行かない、彼は実戦指揮官だからな。
「パラウド号の航行記録を調べました。あの船はオーディンとフェザーンを往復しているのですが惑星トラウンシュタインには行きも帰りも寄っていません」
「……データを改竄した可能性は?」
「分かりません、こちらではそれ以上は確認できませんでした」
「……フェザーンが絡んでいると言いたいのか」
「元々フェザーンとトラウンシュタインの間で密輸をしていたのかもしれません。パラウド号の雇い主はそれを知り宮内省、フェザーンに話をつけ、パラウド号をフェザーンに出した」
「……」
「フェザーンは交易で成り立っています。当然ですが税関は厳しい。フェザーンで出港前に作成した輸出申請書には毛皮は載っていませんでした。もちろん御禁制品です。申請書に載せた時点で問題になったでしょ
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