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力なんていらない
第六章
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「本当に、何で代々忍者のその血を受け継いだのかしら」
「そんな力いらないっていうのね」
「どうせならマーク=トウェインの能力を受け継いだらよかったのに」
「そうはいかないのが世の中かも知れないわよ」
「そして御仏のお考えっていうのね」
「運命よ」
 朝もこんな話をするのだった、だが。
 マーガレットはいつも忍者の素質、しかも天才的なそれについては自分ではいらないと思っていた。身体能力についても勘についてもだ。
 それがどうしてウェブ作家、日常生活に必要かと本気で考えていた。だが。
 そんなある日だ、部活を終えて部活の仲間達と下校していると気いだ、不意に。
 マーガレットははっとした顔になってだ、仲間達に言った。
「この道をこのまま通らない方がいいかも」
「どうしたの、一体」
「急にそんなこと言い出して」
 白人や黒人の仲間達がマーガレットに問うた、皆彼女よりも背が高い。
「何かあったの?」
「いつも通っている道なのに」
「何かね」
 眉を顰めさせてだ、マーガレットは友人達に言った。
「感じたから」
「勘?」
「いつものそれ?」
「それになるけれど」
 マーガレットも否定しなかった。
「感じたから」
「ううん、じゃあね」
「マーガレットの勘ってよく当たるしね」
 同じソフト部員としてのことは知っているのでだ、彼女達もこう言うのだった。
「だからね」
「ここはね」
「ちょっと避ける?」
「別の道行く?」
 こう話してだ、そしてだった。
 マーガレット達はこの日はいつもとは違う道を通って下校した、そしてマーガレットが家に帰るとだった。母にこう言われた。
「貴女何もなかったの?」
「だからこうして帰ってきたけれど」
 これがマーガレットの返事だった。
「この通りね」
「そうなの、実はね」
「実は?」
「貴女の通っている学校の近くで派手な交通事故があったのよ」
「交通事故?」
「そう、車が車道で何台も玉突き衝突してね」
 そしてというのだ。
「歩道に突っ込んだ車もあって」
「そんな事故だったの」
「幸い死人は出てないみたいだけれどね」
「下手をしたらっていうの」
「出てもおかしくない事故だったみたいよ」
 そうした交通事故だったというのだ。
「ちょっとネットで観てみたら?」
「じゃあ」
 マーガレットは母の言葉に応えて携帯を出してネットに接続してニュースをチェックした。すると実際にだった。
 派手な交通事故のニュースが入っていた、その事故の場所は。
「いつも私が行き帰りに通ってる道じゃない」
「そうだったの」
「しかも事故が起こった時間は」
 それもチェックするとだった。
「今さっきで」
「今テレビで出てたのよ」
「私がいつも通ってる時間じゃない」

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