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リリなのinボクらの太陽サーガ
サンライト
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!!!」

とんでもない爆音が響き渡り、サヘラントロプスの胸部コアが掘削機で削られるように抉れていく。しかし殴っていく内にビーティーがはめていたサヘラントロプスの両腕が徐々に分子化、消滅したことで彼女本来の腕が現れた。それでも連打を続けた彼女は胸部コアを突破し、囚われていたアリシアの頭を掴んだと同時に左腕の大盾のパイルバンカーを発射、オリハルコン製の槍が轟音を立てて突き刺さった。

『ぬぅっ!』

次元航行艦も一撃で粉砕した彼女のパイルバンカーにはサヘラントロプスも耐えきれず、動力炉の前まで轟音を立てて吹っ飛ぶ。それを見届けながら着地したビーティーの左腕には、拘束していた機械やワイヤーを力づくで無理やり引き剥がされ、少し腫れた顔で頭を鷲掴みにされているアリシアの姿があった。腫れているのは、地味に拳が何発か入っていたからだ。

そして……ビーティーの腕にも分子化が及んだことで、支えを失ったアリシアは床に倒れこみ、腕が折れて動かないフェイトは下に回り込んで身体で受け止めた。

「っ……! 姉さん……!」

骨折の痛みに耐えながらも、ようやく家族を取り戻せたと喜ぶフェイト。姉妹の再会が果たせたことは確かに喜ばしいが、しかし……彼女にはどうしても訊きたい疑問があった。

「なんで……姉さんを助けてくれたの?」

「母親を殺した奴の情けで助けられたんだ、相当な屈辱を味わうはずだろ? その屈辱がオリジナルに俺が与えた“報復”だ。全て知った時のオリジナルの無様な姿を見てみたいが、残念ながらそんな時間は無いんだよな」

“姉”を救った代償は、別の“姉”の犠牲。だが胸元まで分子化が及んだビーティーは、ようやく訪れた最期をどこか嬉しそうにしていた。

「ア〜ハッハッハッ……! 最高だよ……完全なる破壊ってのもイイよな……。当初の予定とは違った末路だが、まぁそこまで悪い気分でもないし、コレはコレで満足してるぜ」

「ビーティー……!」

「分子になっても、俺という質量が宇宙から消えるわけじゃない。なぁ、俺を構成していた分子を存分に呼吸してくれよ、フェイト? フッ、クッハッハッハッハッハッ!!!!」

狂的な笑みを浮かべながらそう言い残し、ビーティーは最後まで高らかに笑いながら、ついに分子となって消えてしまった。フェイトは最後まで分かり合えなかった“姉”の最期を目の当たりにし、またしても救えなかった悲しみをこらえきれず、腕の中にある“姉”の頬に涙の滴をこぼした。

憎いはずのアリシアを……助ける気なんて無かった彼女を、結果的にだが救い出したビーティー。なのはやフェイトのような根本的な善人とは全く違う、生まれの境遇故に心が歪んだ狂人、怒りに囚われた復讐者……しかし、手を汚してでも信念を貫いたからこそ彼女は成し遂げた。運命に、世界
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