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リリなのinボクらの太陽サーガ
サンライト
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いだ。サヘラントロプスの装備同士の衝突、それを振るうのはサイボーグとメタルギア。疲弊し、骨折もしている魔導師に介入できる余地は無かった。

「ビーティー……どうして私を……?」

「オリジナルの事はガチで嫌いだ、プレシアに対する報復心も消えやしない。だがお前は違う。お前には生きてやってもらわなきゃならないことが山ほどある。俺の……俺達の同族を、生まれの束縛から解放するためにな」

「生まれの束縛……クローンの宿命……」

フェイトはかつて砂漠の廃棄都市で、彼女と言い争った時のことを脳裏に浮かべた。自分と全く違う人生を歩んだ、試作クローンの唯一の生き残り。彼女の口から放たれた、母プレシアへの報復心、クローンの社会的立場の向上。そして……自分と同じことをした上で、違う方法を選んできた覚悟。

『また貴様か。いい加減鬱陶しくなってきたが、貴様の活動時間はとうに限界を迎えている。今も重度のインフルエンザに感染した病人に匹敵する頭痛と吐き気、倦怠感に襲われているはずだ』

「その通り、今もドバァっと腹ン中ぶちまけたくてたまらないぜ。それに頭ガンガンぶつけたい衝動もなぁ! グェッハッハッハッハッ―――ゴバァ!」

「言った傍から吐いた!? ホントに大丈夫なの!?」

『人の身では味わえない、サイボーグ故の苦痛か。……まぁいい、相転移砲で消し去ってやろう。すぐ楽になれる』

ガコンッとサヘラントロプスの装甲が開き、隠されていた胸部コアが露出する。そこに触れた対象を分子に分解するオレンジ色の光が集まっていき、フェイトとビーティーをその射程に入れていた。

「フェイト、俺は破壊者だ。徹頭徹尾、何かを壊すことしかできない。未来を生み出せるお前とは根本的に在り方が違うのさ」

「え、ビーティー? 急に何を……」

「俺とお前は理不尽な運命にさらされているクローンを救うために、別々の方法を見出した。俺は力で、お前は心で、同族を救おうとしてきた。だがな、どんな理屈をごねた所で俺は所詮人殺し、それも親殺しの大罪人だ。どちらが本当の意味で同族を救えるのか、それぐらいは気づいていたさ。……だけどよ、世の中には力でしか守れないものもある。破壊しかできなくても……未来に残せるものはある! うぉぉりゃぁあああ!!」

ひと際強く声を吐き出し、ビーティーは力任せにサヘラントロプスのアックスを敵の腕ごと奪い取り、宙に放り投げる。紫電を纏いながら彼女はそのまま相転移砲の光の中へ突貫、胸部コアに向けて嵐のように黄狼拳を浴びせる。そしてそれは分子に分解される中で殴ることを意味しており、サヘラントロプスの両腕を装備したのは、分子化までの時間を稼ぐためだった。

「よぉ、オリジナル。最後の御礼参りをさせてもらうぜ! オラオラオラオラオラオラオラオラオラッ
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