暁 〜小説投稿サイト〜
リリなのinボクらの太陽サーガ
サンライト
[12/16]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いると誰もが思う。……貴様は周囲が自分を善良で信頼に足る人間だと思わせるために、周到な情報操作によるマッチポンプを利用してきた。そして一度信頼してしまった相手を疑うことは、人を信じる心が強い小鴉らにはなかなか出来ないのだ……」

「ええ、正義感の強い人間を制するには、敵として正面から屈服させるよりも、味方として手綱を握ってやった方が、危険も労力も少なくて済みます。同時に報復心を抑えられない者達も、表向きは穏健派である私よりも、強硬派のアルビオンが制御した方が、彼らも納得しやすいのです」

「善は悪に強いが善に弱い。被害者は同じ痛みを持つ被害者同士のシンパシーを利用して操る。穏健派と強硬派……対立する二つの勢力は操られていることを知らず、ただ自らの思想を信じて争い続ける。貴様は裏には計画や情報を提供するだけで、いつも表の顔しか見せなかった。一瞬しか裏の顔を出さない故、痕跡が全くと言って良いほど無い……いわば幻影の如き存在だ」

「そうです。私は考えたことを伝えているだけ……物的証拠は一切作りません。管理局だろうと聖王教会だろうと、私の裏は決して見つけられません。かのエターナルエースのように、私は相手と言葉を交えているだけなのですから」

「だが我は貴様の尻尾を掴んだ。貴様は魔法も兵器も持たない無力な人間だが、言葉だけで頂点にたどり着いた。そう、貴様を捕らえるには証拠となる言葉を見つけるしかなかった。しかし貴様の慎重さ、及び用意周到さは筋金入りだ。それこそ壁の中で聞き耳を立てる(IS・ディープダイバー)ぐらいのことをしない限り、影すら見つけられなかっただろう。小鴉どもには決して到達不可能な領域だな」

「はい、私もアウターヘブン社の力を見誤りました。もはや逃げようがありません、法の裁きを甘んじて受け入れましょう」

「……む、意外だ。貴様は最後まで抵抗するかと思っていたのだが……いや、違うな。貴様は全ての計画が破られ、自分が逮捕されることも想定していた。そしてここで無駄に抵抗すれば、その後の策に支障が出る。だからこそ意味のない悪足掻きはしない……全くもって不愉快だ。勝ったはずなのに、まるで勝った気がせん」

「では最後に私の所までたどり着いたあなたに餞別としてヴァランシアのリーダー、公爵デュマからもらった情報を渡しましょう。これで少しは気分が晴れるはずです」

するとカエサリオンは机の引き出しからマイクロチップを取り出し、ディアーチェに放り投げて渡した。

「そのチップには管理局製SOPのサーバーがある場所の情報のほか、帝政特設外務省……ラジエルの者達が掴んだ真実の一部が記録されています。スカルフェイスが度々口にする、『全ては“報復”で繋がっている』という言葉。その本当の意味も、マイクロチップの記録を読めばわかります」


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ