第四十四話 あえて罠にその九
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「まずは今日のことね」
「そうよね」
「まず打ち合わせ通りにして」
「誰も勝手に動かない、ですね」
龍馬も言ってきた。
「そうですね」
「そうよ。何といってもね」
「チームワークを守る」
「それが大事よ」
「今回は特にですね」
「若し本当に誰かが勝手なことをすれば」
それで、というのだ。
「失敗しかねないから」
「冷静に、ですね」
「落ち着いてね」
「はい、どうも俺は」
龍馬は自分の性格を考えてそのうえで言った。
「こうした時は」
「血気にはやるわね」
「どうしても」
「そうね、何とかしたいって思って」
「そうなんです」
「龍馬君はそうしたところがあるわね」
龍馬を幼い頃から知っている、それでこの気質にも気付いているのだ。
「そうね」
「実は」
「わかるわ、自分のことでは冷静でいられても」
「あいつにしても他の友達にしても」
「友情ね」
まさにその感情だというのだ。
「それは」
「そうですか」
「そう、友情に篤いから」
だからこそというのだ。
「そうしてしまうのよ」
「自分のことは別になんですが」
「冷静でいられるわね」
「はい、ですが」
「それがなのよ」
他の者、特に優花のことになるとというのだ。
「冷静でなくなるのはね」
「友情があるからですか」
「ないとそこまでならないわ」
到底、とだ。優子は龍馬に話した。
「絶対にね」
「そうなんですね」
「ええ、中には友達と思っている相手をあっさりと切り捨てる人もいるわ」
「そんな奴確かにいますね」
「いるわね」
「はい、俺も見ました」
そうした輩をというのだ。
「友達と言っている相手に告白をけしかけて」
「それでその友達が振られたりしてなのね」
「クラスの女の子から批判されるとです」
「自分に危害が及ぶからね」
本人だけでなく友人である自分も批判される、そう見てというのだ。
「その友達を切り捨てたのね」
「そうしました」
「最低の行いね」
「やっぱりそうですよね」
「そんなことする人間は信用したら駄目よ」
絶対にとだ、優子も言い捨てた。
「自分もそうなるから」
「裏切られるんですね」
「そうした時こそ見捨てないものよ」
「それが友達ですね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「絶対にね」
「じゃあそいつは友達じゃなかったんですね」
裏切った者、彼はというのだ。
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