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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
巡航艦ツェルプスト艦長兼第1巡察部隊司令 (その3)
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は対照的に可笑しそうにヴァレンシュタイン中佐は話す。バルツァー船長は不愉快そうに顔を歪めた。
「言いがかりは止めてもらおう、無い物が有るはずが無い。見間違いだろう。それより我々を解放しろ、今なら未だ間に合う」
バルツァー船長は胸を反らして言い放った。バッファローの毛皮十枚が見つかっても少しも慌てる様子が無い。むしろ嘲笑の色合いが強くなっている。“今なら未だ間に合う”か、こちらには手に負えないだろうというのだろう。
「残念ですがそうは行きません。バルツァー船長、協力していただけないのなら貴方達には全員ここで死んでもらいます」
「!」
穏やかな声とは裏腹な物騒な内容に、船長も兵士も乗組員も皆がギョッとした表情になった。バルツァー船長が顔を真っ赤にしてヴァレンシュタイン中佐を怒鳴りつける。
「何を馬鹿なことを言っている。我々を全員殺すとはどういうことだ?」
ヴァレンシュタイン中佐は穏やかに微笑みながらバルツァー船長を見ている。ヴァレンシュタイン中佐、一体何を考えている?
「交易船パラウド号は海賊に襲われ、乗組員は全員死亡、積荷も奪われ、船は海賊の攻撃により跡形も無く爆発、そういうことです」
海賊? 海賊に罪を着せこの船を乗組員ごと抹殺しようというのか。
「馬鹿な、何を言っている。お前達が臨検しているという事はオーディンに知らせたのだぞ」
バルツァー船長も乗組員も皆顔を見合わせている。ヴァレンシュタイン中佐がどこまで本気か図りかねているのかもしれない。
「なるほど雇い主はオーディンですか、まあもうどうでも良い事ですが……。海賊は第一巡察部隊の名を騙ったのですよ、バルツァー船長。臨検と称してパラウド号に乗り込み貴方達を皆殺しにして積荷を奪った。本物の第一巡察部隊が来たときには海賊は既に立ち去りパラウド号の残骸しか残っていなかった。大変残念です」
「……ざ、残念だと」
「貴方の依頼主が誰かは知りません。しかし私達にあれを見られて黙っているほど御人好しだとも思えません。ですから貴方達には海賊に襲われた事にして死んでもらいます。貴方達の雇い主も海賊相手では仕方がないと諦めてくれるでしょう」
「待て、待ってくれ」
バルツァー船長が顔を青褪めさせ、幾分声を震えさせながら抗議した。そんな船長をヴァレンシュタイン中佐は微笑を浮かべて見ている。上手いものだ、脅しならもう十分だろう。
「ヴァレンシュタイン司令、いくらなんでもそれはやりすぎです。もう彼らも分かったでしょう。こちらの取調べに協力するはずです」
上手く押さえ役を出来ただろう、これで彼らも取り調べに協力するはずだ、そう思ったがヴァレンシュタイン中佐は冷笑を浮かべている。
「甘いですね、ワーレン少佐」
甘い、俺が甘いというのか? 確かにさっ
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