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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
巡航艦ツェルプスト艦長兼第1巡察部隊司令 (その3)
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間、そして雄の成獣だけが発光するということが分かった。
原因はバッファローが食べていた草にあるらしい。名前は忘れたがトラウンシュタイン独特の草で夜になると微かに青く光る。つまり発光成分を含んでいるのだ。なぜ雄の成獣だけが発光するのかはホルモンの関係らしい。生殖可能な状態になると発光する、確かそんな事が昔読んだ動物図鑑に出ていたような気がする。
何故、バッファローだけが青く光るのかだが、それはこの草の匂いがきつく他の動物達は食べないからだ。おまけにこの草、他の星では育たない、ごく稀に育つ事があっても発光成分を持たず、トラウンシュタインの草とは別物になってしまう。
つまり青く光るバッファローは惑星トラウンシュタインにしかいない。惑星トラウンシュタインは皇帝の直轄領となり、たとえ皇太子といえども皇帝の許しなく立ち入る事は禁じられることになった……。
さて、どう片を付けるかだな。真っ正直にバルツァー船長に当たっても無駄だろう。おそらくこの船からは雇い主に対して定時連絡が行っているはずだ。あるいは臨検を通告した時点で連絡が行ったかもしれない。
バルツァー船長は雇い主の救いを頼みに沈黙するだけだろう。雇い主も彼を救うためになりふりかまわないはずだ。事が公になれば身の破滅なのだ、何が何でも助けようとするに違いない。
面倒だな、いっそ無かった事にするか? 少々手荒いが、このままだとこっちの命が危ない。雇い主が誰かは知らないが、トラウンシュタイン産のバッファローの毛皮を見られたとなれば身の破滅だという事は百も承知だろう。身を護るために手段は選ばないはずだ。しかし後味が悪いな、他に手が無いものか……。
帝国暦484年 5月23日 交易船 パラウド アウグスト・ザムエル・ワーレン
コンテナを離れ、バルツァー船長達の元に戻った。バルツァー船長はまだ兵たちの前で“いずれ、思い知らせてやる”、“こんな事をしてただで済むと思うな”等と傲慢と言って良い態度で振舞っている。その一方で集められた乗組員達、十五人程は不安そうな表情で佇んでいる。
「バルツァー船長、コンテナから妙な物を見つけましたよ。御禁制のトラウンシュタイン産のバッファローの毛皮十枚。あれは一体どなたからの依頼ですか、教えていただけると助かるのですが」
ヴァレンシュタイン中佐の声にバルツァー船長は押し黙った、乗組員たちもだ。どうやら乗組員は積荷が何か知っていたらしい。兵士達は顔を見合わせているが不安そうな表情だ。変わらないのはヴァレンシュタイン中佐だけだ。穏やかな何処か楽しそうな表情をしている。
「知らんな、そんなものを積んだ覚えは無い。輸出申告書にも無い筈だ」
「ええ、有りませんでした。おかしな話ですね、無い物が有る」
仏頂面のバルツァー船長と
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