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先恋
先恋〜瑞木さん〜
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普通って、美女なんじゃね??」
「だよね!絶対可愛い??」
普通という言葉だけで異様な盛り上がり。もう止められそうもない。
「陸太は面食いだろ?ブスに興味とかなさそうだし…」
「いや、待てって、どーすんだよ、顧問くそブサイクだったら」
「それめっちゃ笑える??」
ゲラゲラと笑い声が上がる。だんだんと悪口に変わっていく。
「顧問ブスとか辛いわー」
「だよねー!せめて普通で頼みます!」
また笑い声が上がる。陸太は拳を握り締める。忘れると誓った。確かに誓った。それでも、自分が愛した人が此処まで言われるのを普通に見ていて良いものか…?一緒に笑うのが正解?いや、違う。きっと二度と会うことが無いであろう人だから、愛していた思いを嘘にしても良いのか?違うだろう。自分が愛していると言ったのに、それは唯の間違いだ。それこそが本当の馬鹿なのでは無いか?
「…きさんは…」

「…え?何、りく…」

「瑞木さんは!可愛いし綺麗だ!優しいし、面白いし…っ!ブサイクなところなんて、1ミリも無い……っっ??」

机を両手のひらで激しく叩き、立ち上がり、叫ぶ。言ってしまった。クラスでは浮くだろう。ウザがられるだろう。そんな問題ではなかった。陸太は間違いを犯していた。

「…お前…瑞木が好きなの?」
「…え…瑞木さんを知って…」
そこで誤りに気付く。このクラスには…

「…あ、そ、まぁ…ありがと…」

もう一人、瑞木がいたんだ…。


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