第二十二話 容疑者X
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現させたのは現場に残っていたアイテムーー凶器だ。
二つあるうち、片方はなんの変哲も無いロープ。もう片方は禍々しい色彩を帯びた槍
机に置かれたそれらに、エギルはまゆをひそめた。
「これをオレに鑑定しろ、ってのが今回の本筋か」
「正解だ。こっちには一切犯人の素性がわからない。なら凶器を検証するしかない。頼む」
「まあ、いいけどよ……」
ブツブツと文句を言いつつ、エギルはロープに手に取り、アイテムをタップする。
表示されるメニューの中の一つに鑑定用のアイコンがあるが、《鑑定》スキルを持たないキリトやアスナでは何もわからない。
しかしエギルならば。
商売のため《鑑定》スキルの熟練度を上げた彼ならそのアイテムから少なからずの情報を引き出せるはずだ。
「残念ながら、これはハズレだな。耐久値が半分弱減ってるくらいでそこらに売ってるやつと同じもんだ」
「重装備のプレイヤーをロープだけで支えてたんだ。むしろ耐久値が半分で済んでたことが驚きだよ」
解析の終わったロープを机に戻しながら結果を伝えたエギルに、キリトは肩をすくめると同時に少なからず落胆を覚えていた。
「でも、本命はこっちの短剣だ」
トントン、と置いてある短槍を叩く。
エギルは無言でそれを持ち上げ、再び鑑定を始める。
息を呑むキリトに感化されたのか、アスナも硬くなっていた。
数秒ののち、まずエギルの眉がピクリと動いた。
「ビンゴ。PCメイドだ」
「なにっ」
「製作者は?」
ガタッ、と音を鳴らしてキリトが立ち上がる。
続いてアスナが食い気味で問うた。
「《グリムロック》というらしい。聞かねえ名だな。少なくとも一線級の刀匠じゃねえ」
商人クラスのエギルが知らないというのだ。攻略組全権責任者様たるアスナも押し黙っている上に、ソロプレイヤーのキリトにグリムロック氏のことがわかるはずもない。
沈黙が場を支配するーーその前に、アスナが固い声で言った。
「でも手がかりにはなるはずよ」
「そうだな。一つ得られただけでも収穫だ。……エギル。一応、その短剣の固有名も教えてくれ」
「ちょっと待て。……《ギルティーソーン》となっている。罪のイバラ、ってとこか」
「罪の……イバラ……」
キリトはエギルに手渡された禍々しい色を放つ槍を見ながらつぶやく。
本来、アイテム名はコンピュータによってランダムで命名されるため、それぞれの武具の銘に意味はない。
ない、のだが。
毒々しい紫の輝きを持ち、その所々にトゲがある様は荊としての格好がよくついている。
《貫通継続ダメージ》の属性が付与されているのが見て通り受け取れる。
視覚から得るこの彩りの恐怖。槍が自らの腹に突き刺さり、力
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