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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第八十一話 敵要塞迎撃の準備に取り掛かります。
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いなければ、貴様もそれまでの人間だったという事だ、と。
「ボルテック。」
今度は声に出して、
「この度の会戦における帝国同盟双方の情報収集を怠らぬように。」
ボルテックは頭を下げ、退出していった。






 帝国歴487年6月11日、フィオーナ・フォン・エリーセル大将以下総勢5万5000余隻の艦隊は、イゼルローン要塞に向けて出立する。
 どの出立もそうだが、各艦隊の旗艦と遠征軍の総旗艦、そしてその護衛艦隊のみが軍港に駐留し、最高司令官または皇帝直々の閲兵を受けて出立する習わしになっていた。だが、今回はラインハルト・フォン・ローエングラム元帥のみが出席し、皇帝や帝国軍三長官は不在となってしまっていた。皇帝は体調がすぐれず、三長官は何かと理由を付けて。かえってその方が良かったかもしれない。
 帝都オーディンの軍用エアポートには、ラインハルトが麾下の将星に囲まれて立っていた。続々と将兵が出立し、敬礼をささげる中、ラインハルトは純白のマントをひらめかし、眼下の将兵たち一人一人を見定めようというふうに鋭い視線を送りながら答礼を返す。
 やがて、フィオーナの搭乗するヘルヴォール以下がゆっくりと上昇し、青い大気の中を、そのはるか先にある漆黒の広大な宇宙空間に向けて登り始めていった。
 半ば公式の行事だったから、ラインハルトはキルヒアイスにもイルーナにも一切の言葉を発さず、見送りが終わった後身をひるがえして閲兵台を降り始めたが、ちらっと視線を二人に向けた。二人にとってはそれで十分すぎた。ラインハルトのアイスブルーの瞳の中には二人に対する無言の決意と、謝意とがまじりあっていたからである。



 遠征軍を見送ったラインハルトは元帥府に戻り、ヒルダことフロイライン・マリーンドルフと共に昼食を取っていた。
「同盟軍の攻勢はおそらく本腰を入れてのものではあるまい。」
この場合のラインハルトの言う「本腰」とは帝国領内奥深くに侵攻する意思を示す。
「おそらくはイゼルローン要塞を破壊、あるいは奪取しわが軍の侵攻を誘うのが目的だろう。が、果たしてそううまくいくかな?」
執務中であるから、アルコールは一切ない。ラインハルトは食後の紅茶の入ったカップを口にしながら、ヒルダを見つめる。
「うまくいかないと、そうお考えですの?」
「帝国と同盟、言い換えれば帝政と民主政治の最大の違いは、民衆の意志が国家機関の意思決定を左右するか否かだ。同盟が仮にイゼルローン要塞を破壊あるいは制圧したとすれば、民衆の意志はどこに向かうかな?このまま帝国を誘引する悠長な策を取るか、あるいは投機的熱病に侵され帝国領内へ侵攻する策を取ろうとするか・・・・・。」
「仮に同盟が帝国領内に侵攻したとして、閣下にはその迎撃案がおありなのですか?」
「むろんのことだ。」

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