第九話「ユーマ・ライトニング」
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ッドに寝ようとすることもある。そんな、男同士で共同生活をしていれば、オペレーターの女子らからホモの疑いをかけられたり、腐女子系のオペ娘達からは萌える目で見られたりもした。特に中里優紀がいい例題だ。ジョニーはそのとき、彼女が腐った存在だということを改めて知った……
そしてユーマ自身も、ジョニーと生活を共にするにつれて、外から興味ある知識を覚えていき、用語、娯楽、感動というものを次々に会得していった。
ジョニーも最初は面倒奴だと苦手な態度をとっていたが、とても懐いてくるユーマを見るたびに、弟のように思うようになっていき、次第に彼を受け入れていくのであった。
だが、ジョニーとの生活を共にするにつれてユーマは強化人間らしかぬ感情に溢れすぎた人材へと変わり果ててしまったことに軍は不満を持った。
*
その日、主任は施設の応対室へ呼び出された。机の向こうには数人の軍の士官らが険しい目で彼を睨んでいた。それも、士官らは軍の上層部である。
「強化人間とは、戦うために生み出された生体兵器だ。それ以外に感情というものは無用だ。我々が要求する育成というのは、感情を高めるのではなく、戦闘能力を高めるためにしているものなのだぞ? 主任……」
「も、申し訳ございません……」
軍の上層部より、そういった知らせを受けて主任は深々と頭を下げた。
「し、しかし! 強化人間と言えども戦闘以外の任務などにも適用できるのではないかと思いまして……」
「ハッ! くだらん……強化人間は戦闘が主な任務だ。感情があまりにも豊かになりすぎれば、敵に対しても情けをかけてしまい、先頭に支障をきたしかねないのだぞ?」
「で、ですが……」
「主任! 即刻、ジョニー・ライデン少佐からユーマ・ライトニングの育成実習の任を取り外すのだ。メモリーを新たにリセットして元に書き直せ。さもなければ、ユーマ・ライトニングを……」
軍の上層部からして、強化人間など「兵器」、「物」としか捉えていないのだった。
「……殺処分に処す」
「……!」
主任の目が見開いた。上層部の士官らは言いたいことをだけ言うと、主任に背を向けて応対室を出ていった。
「……」
主任としては、これまで生み出してきた強化人間たちに対して愛着を抱いていた。
オーストラリアのシドニーを旅行中に起きたISのテロにより、妻子を失った彼にとって、兵器とはいえ生み出した強化人間は家族のように大切な存在に見えてしまい、また優しく接する主任のことを、周囲の強化人間らは無表情な顔越しでマスターと言って寄り添ってくることもある。
中でも、ユーマ・ライトニングは主任にとって最も心配を寄せていた存在でもある。
強化人間とは言え、せめて無邪気な彼だけは人間としての感情を与えたかったのである。そこで、軍で最も気さくで人間くさいと人気のジョニー少佐に預ける
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