第九話「ユーマ・ライトニング」
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これは、「彼」がこの施設から逃げ去る数週間前の出来事である。
ジオン公国、シャングリラやグリーン・ノアなどの有名な反IS主義国家のなかで最も反IS感情が強い場所である。そのためか、ジオン公国ではかつてのようにやや男尊女卑の風習がわずかながらあるのだという。
とはいえ、外の女尊男卑と比べればジオンの男尊女卑などシンデレラ系女子が喜ぶ天国のような場所である。一様……
男性は皆、かなりの愛妻家たちであり、家族のゆとりを大事にする漢たちが大半だ。離婚するケースとならば、妻がIS被れになったが全般だ。
また、多国籍国家のため日本人などのアジア民族も少なからず暮らしているのであった。
IS社会から追い出された大半の男性たちは前者のシャングリラかグリーン・ノア、そしてこのジオン公国へ住み着くという。
そして、ジオン公国はMSの発祥の地でもあるのだ。連邦軍のGMシリーズに後れを取らない汎用性合わせた高性能な傑作機を次々に開発している。
*
ジオン公国軍、軍事研究施設にて
施設周囲には公国軍の第三世代の量産型主力MS「ギラ・ドーガ」が多数配備されていた。
近頃、篠ノ之束によるハッキングが少なからず起こっている。
しかし、ジオン公国の技術は侮れず、束はこれまで数百回もハッキングに失敗しているというのだそうだ。
そして、この基地にはタイトル通り、軍事兵器の研究を続ける施設であるが、とくにジオン公国が開発を進めているのは「強化人間」とよばれる戦うために生み出されたMSのパイロットたちである。非人道的という見方も取られるが、無人兵器とは違って人間であるゆえに、戦闘以外での善悪の判断力はそれなりに区別されるよう感情に組み込んであるとのことだ。しかし、生み出された強化人間が全て「良品」となることはない。欠点が出れば、試験管に入れて記憶を消したりと調整が必要なのだ。こうして、改良に改良を重ねて、強化人間たちは立派な先鋭として公国に尽くすこととなる。
そんな中、ここにとある強化人間の青年が誕生した……
「はぁ? 俺に強化人間の坊主のお守りをしろってか!?」
施設内の通路を歩きながら金髪の前髪が揺れる。公国軍のMS部隊「キマイラ隊」の隊長を務めるエースパイロット、ジョニー・ライデンが嫌そうな顔をして隣を歩く研究員の主任に叫んだ。
「そこを、どうにか御願いします少佐……」
「俺は、今いる部下達のお守りで手一杯なんだよ? 悪いが、ほかを当たってくれねぇか?」
「相手は、まだ19歳とはいえMSの操縦技術はそこそこなモノなんです。多少は幼児性が目立つものの、懐けば必ず少佐のよき忠実な部下になるかと……」
「幼児性……ねぇ?」
「ま、まぁ無邪気と言いますか……趣味が子供っぽいと言いますか……態度が幼く感じるなど、御見苦しいところはありますが、MSでの操
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