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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
巡航艦ツェルプスト艦長兼第1巡察部隊司令 (その2)
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かに出世するに違いない。

後々睨まれないように、何かの間違いで出世してしまったが、真面目な士官だったと言われるようにしないといかん。部隊運用については余り苦労はしなかった。部隊と言ってもたった四隻なのだ。ワーレンと相談しながら無難にこなしていた。

ワーレンは何時まで此処にいるのだろう。ヘーシュリッヒ・エンチェンの同盟領単艦潜入の件でラインハルトは誕生日に昇進したはずだ。ワーレンもそれに伴い中佐に昇進するだろう。同じ艦に中佐が二人と言うのも妙だ。昇進に伴い異動だろうな。

寂しくなるな。ワーレンはなんと言っても頼りがいがあるし、性格も温厚で一緒にいるのが苦にならない。副長とか副司令官とかが確かに向いているだろう。もっとも重厚な所は司令官に相応しい雰囲気を持っている。何の事は無い、何でも出来るということか。やっぱり偉くなるヤツは何処か違うんだな。



帝国暦484年 5月23日 巡航艦 ツェルプスト  アウグスト・ザムエル・ワーレン


部隊はマールバッハからマリーンドルフに向かっている。特に問題は無い。無さ過ぎるほどだ。時々何時までこの巡察部隊にいるのか、このまま巡察部隊で一生を終えるんじゃないかと思うと不安になる。

波乱の一生などというのを望むつもりは無い。しかしこのまま平穏無事というのもつまらない。それなりに武勲を挙げ昇進したいものだ。それだけの実力はあるつもりだ。

俺は艦長席に座る少年を見た。青年というよりは未だ少年と言って良い若者だ。エーリッヒ・ヴァレンシュタイン中佐、エリート中のエリートだ。俺よりもずっと若いのにもう中佐だ。

このまま行けば後二年もすれば閣下と呼ばれる身分になるだろう。こんな暇な任務について不満だとは思うのだが、微塵もそんなそぶりを見せない。
日々真面目に任務をこなしている。

妙な男だ。俺はこの男を全く知らないわけではない。士官学校で俺が四年生のとき編入生として士官学校に入学してきた。確か十二歳という異様に若い士官候補生だったはずだ。

毎日のように図書室で本を読んでいた。容貌が容貌で余りに大人しいので女なのではないかという噂も立ったことも有る。成績も良かったはずだ。なんと言っても編入生なのだ。出来が悪いはずが無い。

ミューゼル中佐、いやもう大佐か、彼のように覇気が有りすぎるのも疲れるが、ヴァレンシュタイン中佐のように無さ過ぎるのも張り合いが無い。足して二で割ればちょうどいいのだが。

俺もそろそろ昇進だろう。次は何処へ行くのだろう、それともこのままだろうか。今帝国軍は例のサイオキシン麻薬の影響で再編、訓練の真っ最中だ。出来る事なら俺もそこに加わり、次の出兵に参加したいと思っている。

しかしな、異動先でまた何処かの若造の子守じゃないだろうな。だったらこのまま
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