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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
巡航艦ツェルプスト艦長兼第1巡察部隊司令 (その2)
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だ。うん、弁護士をしてラインハルトが死んだ後に官僚になる。そっちのほうが安全か。その頃なら新領土に行っても問題ないだろう。とにかくロイエンタールに近づくのは危険だ。
先日、妙な夢を見た。どういうわけか俺がロイエンタールの参謀長になっていた。本当ならベルゲングリューンが参謀長のはずなのだが、俺がガイエスブルクで起きたキルヒアイス暗殺事件を防いだらしい。
その所為でベルゲングリューンはキルヒアイスの幕僚のままで代わりに俺が陰謀を防いだ功績で昇進してロイエンタールの参謀長になっているという夢だった。
ひどい夢だった。二月おきに女との別れ話の後始末を俺に付けさせるのだ。原作だとロイエンタールは漁色家の割には恨まれなかったと書いてあったから、女とは綺麗に別れたのかと思った。
だが、とんでもなかった。漁色家の割には恨まれなかっただけで、一般人から見れば修羅場のオンパレードだった。手首を切るだの、ロイエンタールをつけ回すだの、妊娠したと嘘を吐くなどその度に俺が呼ばれ後始末をつける羽目になった。
おまけにロイエンタールは素直に礼を言うようなヤツじゃないから黙りこくっているし、俺もいい加減頭にきてムッとしている。ロイエンタール艦隊の司令部の人間は沈黙する司令官と不機嫌な参謀長の前で震え上がっていた。バルトハウザーは緊張の余り俺の前で右手と右足を一緒に出して歩いていたほどだ。
新領土での反乱も酷かった。あれはどう見ても自分で自分を反乱に追い込んでいる、自業自得の行為なのだがあの野郎、俺に向かって一緒に死んでくれとか言いやがる。
俺は退役して官僚になるんだ、お前の反乱なんかに付き合えるかボケ、と言ったら、奴は逆上して俺を捨てるのかとか訳の分からんことを言ってブラスターで俺を撃ちやがった。
撃たれたところで眼が覚めた。体中汗でぐっしょりだった。その日は具合が悪いといってワーレンに全てを任せて艦長室で一日寝ていた。ろくでもない一日だった。
ロイエンタールには悪いが、反乱を食い止めようとか、反乱を成功させようとか、そんな事を考えるほど俺は酔狂じゃない。自分のことだけで精一杯なのだ。まあ自分の事は自分で片付けてくれ。間違っても他人に女の後始末とか、子供とか押し付けるなよ。ホトトギスじゃないんだから。
第一巡察部隊が任務に就いたのは二月十日だった。最初の二ヶ月はワーレンについて艦長任務を学んだ。ワーレンは艦船乗組みの経験が豊富な男だ。色々と艦長として注意しなければならないことを教えてくれた。
俺は出来るだけ真面目に取り組んだ。乗り込む前は全部ワーレンに任せて昼寝でもするかと考えていたが、良く考えればワーレンは「獅子の泉(ルーヴェンブルン)の七元帥」になるのだ。俺の副長として何時までもいるわけはないし、閣下と呼ばれて俺よりはる
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