第17話(改2.6)<巡回(鎮守府の外)>
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いた車窓から町の喧騒と穏やかな風が吹き込んで来る。
私はボンヤリ考えていた。明後日は中央からの視察団を出迎える。
(指揮官は、前線でも後方でも忙しいものだな)
青葉さんは数分と経たずに戻ってきた。
「済みません、失礼しました!」
どうやら私用だという自責の念はあるらしい。
微笑んだ祥高さんが青葉さんに何かを囁く。彼女は大きく頷いて敬礼した。
「了解です! では出発します」
軍用車は郊外へ向けて再び走り出した。
10分くらい走ると閑散とした田園地帯になった。広い道路脇に車を停めると祥高さんが島根半島を指差した。
「先ほども確認しましたが、あの丸い建物が空軍の電探設備です」
「なるほど、ここからでも目立つな」
何となく『上から目線』というコトバが連想された。
すると青葉さんも続ける。
「空軍って、なかなか重要な索敵情報は、こっちに提供してくれないんですよねぇ」
「何だ? やっぱり空軍と仲が良くないのか?」
私が聞くと祥高さんが返した。
「いえ、悪くはありません。ただ今朝の攻撃でもギリギリまで情報提供がありませんでした」
「そりゃ拙い」
私の言葉に頷く彼女。
「はい。ですから空軍の迎撃機が何機か撃墜されてから、やっと私たちに依頼が来ました」
寛代もポツポツと言う。
「既成事実確認後の緊急発進」
それを聞いた私は誰とも無く呟いた。
「敵が地上を空襲したのは今回が初めてではないだろう?」
続けて祥高さんに問う。
「うちにも電探はあるだろう? 艦娘だって持っているはずだが」
しかし彼女は寛代を見ながら苦笑いする。
「はい。でも鎮守府いちばんの電探娘(寛代)は米子から荒島の方まで行き過ぎて索敵どころではありませんでした。他の艦娘の電探も地上からでは範囲も狭く精度も落ちます」
「おいおい、それって大丈夫か?」
呆れたような私の言葉に彼女が応じる。
「山城さんの電探も旧型ですし。他は駆逐艦や巡洋艦がほとんどで……せめて美保に正規空母か別の戦艦が居ればと思いますが」
私は肩をすくめた。
「やれやれ。先が思いやられるな、ここは」
遠くから聞こえる航空機の音が寂しく響いた。
以下魔除け
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