暁 〜小説投稿サイト〜
マイ「艦これ」(みほちん)
第17話(改2.6)<巡回(鎮守府の外)>
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
感のこもった呟きだ。

 記者の青葉さんが興味本位でないことは分かるが、これは陸軍には機密事項。かつ負け戦の証拠だ。彼らも気分を害するだろう。

苦笑した青葉さんが答える。
「では脳内シャッターに刻んでおきます」
「うまいこと言うな」
「えへへ」

彼女は車を、ゆっくり前進させながらジックリ見ていた。

(逆に、こういった攻撃を受けながら耐え抜く艦娘たちも凄い)
改めて、そう思った。

「私たちも、よく逃げ延びたものだな」
私は寛代を見ながら呟いた。

彼女も無言で高射砲を見詰めていた。
(この子なりにも何か感じるものがあるのだろうか)

 すると秘書艦が口を開いた。
「青葉さん、そろそろ」
「あ、ハイハイ。では、次に参りますぅ」

 やや名残惜しそうにして青葉さんはアクセルを踏み込んだ。ドルンという太い音を響かせた軍用車は加速する。

作業している憲兵たちが再びこちらを見たが、やはり私たちへの関心は少ないようだ。

 ただ逆に私は陸軍の反応に違和感を覚えた。これが都市部だと海軍に対し、あからさまに嫌がらせを受けたものだ。実際、中央でも陸軍と海軍は仲が悪かったりする。

だがここ山陰では、お互いにノンビリしている印象だ。
(これも地方だから?)

 私は助手席の祥高さんに聞いた。
「ここでは陸軍と海軍が仲が悪いってことはないのか?」

「そうですね」
彼女は一瞬、不思議そうな顔をしたが直ぐ質問の意図を理解した。

「ここでは、さほど対立する雰囲気はありませんね」
「なるほど」
私は今日、陸軍に送って貰ったことを思い出した。

「そういえば今朝の憲兵さんも親切だったな」
私は頭の後ろに手をやって座席に深く腰をかけた。すると隣に座っている寛代が頷いている。彼女も彼のことは印象に残ったのだろう。

 公園を離れた軍用車は路地を抜けて岸壁へ出た。そこには境水道に沿って一本の道路があった。

「へえ、ここは変わったなぁ」
思わず声を出した。

すると青葉さんが直ぐに反応する。
「司令、この辺りも、よくご存知なのですね?」
「あぁ、地元だからな。ただ、この岸壁に魚市場が有った気がするが」

すると彼女が説明する。
「えぇ。以前より漁獲量が減ってしまったとかで」
「へえ?」

「それで市場が無くなって新しく道路が出来ました」
「なるほど、よく知っているな」
私は感心した。

「えへへ。一応ぉ、記者ですから。地元のことは時々調べてます」
彼女は恥ずかしそうな顔をする。

「では、この道に沿って西へ向かいまぁす」
車は岸壁に沿って走り出す。

 祥高さんが境水道(海峡)の対岸に見える山を指差しながら説明する。
「右の山……島根半島の頂上に
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ