第17話(改2.6)<巡回(鎮守府の外)>
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「くれぐれも自重して下さいね」
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マイ「艦これ」「みほちん」
:第17話(改2.6)<巡回(鎮守府の外)>
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「あまり時間がありません。市内の主要部分、ざっと回りましょう」
助手席の祥高さんが言った。
「イエス・マム」
運転席の青葉さんは前を見詰めたまま片手で敬礼をする。
祥高さんは私を見て確認する。
「どこか、見ておきたい場所は御座いますか?」
「いや、特には無いが」
「分かりました。青葉さん、一時間程度で周れる主要地点を、お願いします。場所は、お任せします」
「イエス・マム」
その言葉に妙に明るい声で答える運転手。
(なるほど記者なら選ぶのも得意そうだな)
適任だと思った。実際、青葉さん自身も嬉しそうだが。
「曲がりまぁす」
運転手は軽やかにハンドルを回し軍用車は幹線道路を右折した。
バスガイドが居るのかと思った。
松林の間から青い海が見えている。青葉さんが話し掛けてきた。
「司令、ご存知でしょうけど右手が美保湾で、正面が高尾山です」
「あぁ」
一瞬、同名の重巡洋艦を連想した。
「あの山は懐かしいな」
地元出身なのでつい、そんな言葉が出た。
やがて前方に境水道大橋の骨組みがチラッと見えてきた。その手前の交差点で車が減速する。
「左折します」
青葉さんはハンドルを左へ切る。路は狭くなり境港の市街地へ入った。
「まず最初に『お台場へ』参りましょうか」
彼女が言うと同時に目の前に広場が見えてきた。
「えっと確か、ここに陸軍の砲台があったはずですが」
私たちが近づくと直ぐ瓦礫の山が見えた。それは完膚なまでに叩きのめされた陸軍の対空砲だった。
「うわぁ、結構やられちゃってマスねえ」
ハンドルを握りながら青葉さんが言った。
「凄まじいな」
私も驚く。
「……」
「……」
祥高さんと寛代は無言。
改めて深海棲艦の破壊力と執念に圧倒された。私と寛代は、よくこんな敵の攻撃を潜り抜けたものだと思った。
周りには『立入禁止』と表示され憲兵や陸軍兵が復旧作業をしていた。彼らは時々チラっと、こちらを見るが軍用車に乗った私たちが海軍関係者だと分かるのだろう。特に追い払われることはなかった。
「写真撮っちゃ……ダメですよね」
さっきからソワソワしている青葉さん。秘書艦に上目遣いで聞く。
「……」
当然、祥高さんは『ダメ』という意味で頷く。
(結論の分かる質問だな)
破壊された陸軍の高射砲を、うかつに撮影したら即、憲兵さんに捕まる。
「残念だなぁ」
実
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