第16話(改2.7)<巡回(鎮守府内)>
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認に出かけます」
「うむ」
それから鳳翔さんにお願いして、お茶を持って来て貰った。数分と経たず扉が叩かれた。
「失礼します」
落ち着いた表情の鳳翔さんにはホッとする。
この対応の速さは小さい鎮守府ならではだ。最初は戸惑うが慣れてくれば、むしろこの方が良い。
配膳しながら鳳翔さんは言った。
「今日は日差しが強いですね」
「そうだね」
つくづく彼女は癒し系だ。こんな艦娘ばかりだったら気も楽なンだが。
15分ほど休憩してから鎮守府本館の横にある車庫へ向かった。
緑色の髪のメロンこと軽巡洋艦「夕張」と補佐の駆逐艦娘たちが敬礼してお出迎え。
これから行くのは私と祥高さん、それに青葉さんと……どういうわけか駆逐艦の寛代だ。
朝のゴタゴタ疲れもあるだろうに彼女は自分から申し出たそうだ。もちろん寛代に来て貰う事は非常時の通信役として重宝するだろう。
(また寝過ごさないか?)
無表情の彼女を見ながら不安を覚える。
運転は青葉さん。
「取材だけでなく軍用車の運転もこなすとは器用だな」
彼女は、やや恥ずかしそうに説明する。
「えぇ、取材記者ってのは自力であちこち走り回りますから」
「なるほど」
車を運転する艦娘は珍しい。
車内は助手席に秘書艦、私は後部座席に座っている。隣は寛代。
(青葉さん以外、あまり喋らなさそうな艦娘だな)
「では行きますね」
青葉さんの一声で車は緩やかに建物を出る。
ちなみに彼女も巡回に立候補したようだ。
(さすが好奇心旺盛だな)
ネタ作りには積極的だ。
夕張たちに見送られた軍用車は鎮守府の敷地を出る。
広い埋立地から幹線道路目指して走り始めた。
(車内は静かだ)
いろんな意味で。
夏の穏やかな日本海を見ながら過去に思いを馳せる私。
(十数年前、この一帯は海だった)
ボンヤリと今朝、憲兵さんと交わしたやり取りを思い出す。
「司令官は、ここのご出身なんですよね?」
早速、青葉さんが突っ込んで来る。
「あぁ」
そういえば運転席の青葉さんは必然的に大声になる。
彼女は、もともと芯のある声だ。多少の風切り音も気にならない。
「司令の実家は、この近くですか?」
「いや、港のほうだが。学生の頃は夏になると友人に誘われて授業をサボって海水浴に来ていたな」
「海水浴ですか? ここで」
不思議そうな表情の青葉さん。なるほど、ここが埋立地だという認識しか無いよな。
私は説明した。
「ここは、もともと遠浅の海水浴場だったんだ。それを埋め立てて鎮守府にした……そりゃ大変な大工事だったらしい」
「はぁ」
そこでようやく美保鎮守府が埋立地だ、という事実を思い出したらしい。恥ずかしさを
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