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マイ「艦これ」(みほちん)
第15話(改2.6)<艦娘の強さ>
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象を抱いたようだ。テーブルに戻ると彼女は言った。
「あの娘は特型駆逐艦ということもあって一時期、外部の新聞からも取材されて一躍、時の人になったんですよ」
「なるほど」

 その時、横の方から声がした。
「あのぉ、取材の続き、宜しいですか?」

「あ」
振り返ると青葉さんだ。そういえば彼女の声も独特な張りがある。記者には良いかもな。

 メモ帳を片手に青葉さんは、やや上目使いに質問する。
「えっとぉ、新しい鎮守府に着任された第一印象は、如何(いかが)ですか?」

「そうだね。悪く無いよ」
半分お世辞だ。

サラサラとメモを取りながら彼女は続けた。
「えっと、既に敵と遭遇されたそうで。何か感じられたことはありますか?」

「うーん」
情報が早いなと思いつつ私は、ちょっと考えた。

「いまだに正体がハッキリしない敵の強さ、かな」
「なるほどぉ」
彼女はメモを取り続ける。

一呼吸おいて私は付け加えた。
「しかし、そんな敵にも対抗する我が海軍の素晴らしさ。特に艦娘の火力には頼もしさを感じたね」

「ほうほう」
感心しながらメモする青葉さん。

「ふむふむ」
暫し、ペンを(あご)に当てながら海を見詰め、考える彼女。やがてメモを閉じた。

「はい、貴重なご意見、どうも有り難うございました」
微笑んだ彼女の瞳は海の光を反射して澄んで見えた。

 私はドキッとした。間近で見る彼女の笑顔は普通の少女そのものだった。

大抵の記者、人のことを聞き出す輩は目が曇っている。だが彼女は違う。
(不思議な感じだな)

そして青葉さんは立ち上がった。
「では失礼します。今後とも宜しくお願いします」

一礼した彼女は私たちの前から立ち去っていった。

 それを見ながら秘書艦は言った。
「あの娘は情報通で、この鎮守府の広報担当もやっています」
「なるほど」
(美保は百人規模ながら個性派揃いだな)

 思うに鎮守府とは一つの個性的な町だ。それが地方の、いち組織であれ存在意義は国防に留まらない。

軍隊には情報や物流、基本業務を自己完結出来る多芸さがある。美保も例外ではない訳だ。

 私の思いを察したように祥高さんは補足した。
「艦娘は器用な娘、そうでない子、様々です。でも誰でも皆、素敵な個性を持っていますから」

長い『耳』を揺らす島風を見ながら彼女は続けた。
「そういう個性こそ私たち艦娘の最大の武器になると思います」

「そうだね」
私はコーヒーをすすった。

「画一ではない」
率直な印象を口にした。

目の前の駆逐艦。ウサギ耳の島風に、無口な寛代。対照的だ。そんな個性的集団を束ねるのは大変だろうか。

 すると急に秘書艦は真面目な顔をして言った。

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