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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
巡航艦ツェルプスト艦長兼第1巡察部隊司令 (その1)
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「閣下、その何かの間違いでは有りませんか? 小官は司令部勤務は有りますが艦船乗組の経験も知識もありませんが」
「そんな事は分かっている」
「?」
困惑する俺に、何処か面白そうな表情でハウプト中将は俺に下された任務の内容を話し始めた。
巡察部隊、俺が聞いたことが無いのも無理は無い。今回新しく作られた部隊だ。任務は帝国内での警備業務(艦船、船舶を使った犯罪に対する捜査)らしい。まあ船舶ならば警察にも捜査権があるから主として艦船なのだろう。
これもサイオキシン麻薬密売事件の影響だった。軍の首脳部は皇帝フリードリヒ四世から二度とこんな不祥事を起こすなと言われたようだ。そこで密輸を取り締まる部隊を作ります、という事で出来たのが巡察部隊だ。
俺が何で巡察部隊の司令になったかだが、サイオキシン麻薬密売事件の摘発者を巡察部隊の司令にすることで軍首脳部は本気だという事をアピールしたいらしい。
つまり、俺に適性があるかどうかはこの際問題ではない。あくまでポーズなのだろう。軍首脳部の本気というのも大変怪しいとしか言いようが無い。
「巡察部隊は第一から第二十まで作られている。卿はその栄えある第一巡察部隊の司令に任じられたわけだな」
「……」
「第一巡察部隊は巡航艦ツェルプストの他、駆逐艦二隻、護衛空母一隻で編制される。卿は巡航艦ツェルプスト艦長兼第一巡察部隊司令というわけだ」
「……」
「安心したまえ。副長に卿を補佐する経験豊富な人物を当てる」
「……」
「アウグスト・ザムエル・ワーレン少佐だ」
「!」
アウグスト・ザムエル・ワーレン! 何で俺の部下なんだ。いや、そんな奴俺の部下にして良いのか? 俺ってそんなに出世してるのか?
パニクってたらいつの間にかハウプト中将の話は終わっていた。俺の手には紙袋がある。第一巡察部隊の資料が入っているのだろう。いつの間に受け取った? いや、その前にいつの間に人事局長室を出た?
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