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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
巡航艦ツェルプスト艦長兼第1巡察部隊司令 (その1)
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良い。
局長室に行くと部屋の中へ案内された。局長は例の奥の個室で面会中だ。部屋の中には中将と少将が一人居てソファーに並んで座っている。敬礼をすると俺の方を見て慌てて答礼してきた。中佐に敬礼されたからってそんなに慌てるなよ。変な奴らだ。
俺は少しはなれて壁際に立つことにした。ソファーは空いているが将官と一緒に座るなんて気詰まりだ。それほど待つことも無いだろう。
奥の個室から将官が出てきた。中年の少将閣下だ。また敬礼だ。こいつも俺の方を見て慌てて答礼してきた。最近は挨拶にうるさくなっているのか? オーディンに居ないとどうもその辺の情報に疎くなるな。
ソファーに座っていた中将が立ち上がる。ようやく俺の番だといった表情がある。前は確かここで俺の名前が呼ばれたな。今回は無いだろう……。良かった、今回は無かった。結局俺がハウプト中将に呼ばれるまで三十分程かかった。
「中佐、元気そうだね」
「有難うございます。閣下も御健勝そうでなによりです」
嘘だ、頬がこけてるし、疲れきった表情をしている。
「そう見えるかね。毎日死にそうな思いをしているのだが」
「……」
「例のサイオキシン麻薬密売事件の所為でね。人事が滅茶苦茶だ。人事案を作っても直ぐ意味のないものになる。何故か判るかね?」
「小官には良く分かりません」
いや、判らないことは無い。しかし此処は分からないと答えたほうが無難だろう。なんとなくそんな感じだ。
「ほう、分からないかね、それは残念だな。一人を動かすのに後任者を含めれば何十人という人間が動く事になる」
その通りだ。一人の人間を動かせばその後任者、更にその後任者の後任者を選ばなくてはならない。どうやら俺は拙い所に来たらしい。此処は我慢して嫌味の一つも聞かねばなるまい。
「しかし、その途中の異動候補者が退職願を出してきたり、逮捕されたりするのだよ」
「……」
「卿の責任ではないことは分かっている。卿は正しい事をした。しかしね、その結果がこの有様だ」
「……」
頼むからそんな恨めしそうな顔で見ないでくれるか。確かに死にそうな思いをしているのかもしれない。しかし俺は実際に殺されかかったんだ。それに比べればましだろう。
とはいっても俺は一年で中尉から中佐。ハウプト中将は中将のままだ。不公平感はあるかもしれない……。頼むから恨まないで欲しいな。
「ところで卿の新しい任務だが……」
「はい」
ハウプト中将は溜息を一つ吐くとようやく俺の新しい任務の話を始めた。兵站統括部第三課、さあ来い。
「巡航艦ツェルプスト艦長兼第1巡察部隊司令、ということになる」
「はあ」
思わず間抜けな声が出た。艦長? 巡察部隊司令? 何だそれは? 聞いた事が無い、兵站統括部第三課はどうした?
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