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ソードアート・オンライン《風林火山の女侍》
伍:戦後
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うに地面へ倒れこんだ。

「…………」
「キリト君……キリト君!!」
「ぅ、あ……あぁ…こ、こは……」

 キリトが倒れて、次に意識を取り戻したのは立った数秒後だった。目をあけあたりを確認する暇もなくぺたんとすわったアスナにぎゅっとホールドされていた。

「バカ、無茶して……っ!」
「いつつ……そんなに、締めると俺のHPがなく……んぐっ!?」

 しかしまだ冗談をたたく口はあるらしくハイポーションを無理やり口の中に突っ込まれ無理やりHPを回復されていた。
 その間に風林火山の面子が今回の戦闘の被害状況の報告を受けていた。
 《軍》の精鋭部隊からコーバッツ中佐、他二名が死亡。ボス攻略戦で死者が出たのは67層以来のことだった。が、今までのボス戦に比べずとも今回の戦闘はボス攻略戦などと呼べるものではなかった。
 キリト曰く「二刀流」の隠し玉ともいえるスキルがなければ被害はさらに大きくなっていただろう。軍や風林火山が若干興奮気味に詳細を聞くも「いつの間にか習得していた、方法はわからない」とどうやらクラインの刀スキルやセリシールの太刀スキルのようなエクストラスキルとはまた別、いわゆるユニークスキルというものらしい。

「あの……クラインさん、セリーは大丈夫……?」
「っ……それが」

「……セリシール、大丈夫か、おいっ…!」

 アスナの問いにクラインは苦虫をかみつぶしたような顔を浮かべる。
 セリシールは彼とはまた別だった。風林火山のメンバーが彼女の名前を呼ぶも焦点の合わない目を開けずっと口をぽかんと開けている。

「…………」
「……とりあえず意識は確認できた、がよぉ……」
「……クラインさん、セリー……一体……」

 アスナと支えられたキリトがゆっくり歩み寄ってもセリシールの反応が変わることはない。ずっと何かを見ているのか、何も見ていないのかわからないよう視線がどこかへ行っている。

「……こんな状態のこいつは、初めて見た。……前の荒れてる時期とはまた違ってやがる」
「ねぇ、セリー……私だよ。アスナ、だよ……」

 だがセリシールの反応はなくアスナを見ているのか、それとも景色を見ているのか、何も視界に入っていないのか虚ろな目を浮かべるだけだった。

「……っ」
「……セリシール……っ」

 アスナとキリトは悲痛な面持ちでセリシールを見つめるが、変化はない。

「キリト、俺らはこいつ休ませるついでに上をアクティベートするつもりだけどよ。今日の立役者だしお前がやるか?」
「…………いや、いい。それよりもセリシールを」
「悪い。……お前らも気をつけて帰れよ」

 クラインはセリシールをおぶると軽く仲間に合図を出し、入ってきた方向とは逆にある大扉へ歩いていく。

「……なぁキリト
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