第四十三話 あえてその場所にその一
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第四十三話 あえてその場所に
副所長は優子にもすぐに連絡をした、すると優子は携帯の向こう側にいる副所長に対して真剣そのものの顔で応えた。
「わかりました」
「それでは」
「はい、すぐにそちらに行きます」
「お仕事の方は」
「今はどうしてもというものがないので」
このことは幸いだった、優子にとっても。
「ですから」
「では、ですね」
「今すぐに行きます」
時計を見た、三時半だった。これから新神戸駅から新幹線に乗るか八条鉄道の神戸駅から特急に乗ればどう長く見繕ってもこの日のうちに優花のところに行ける。
ここまで考えてだ、優子は刀を持った様な顔で副所長に言った。
「そちらに」
「わかりました、では」
「はい、今から妹のお友達にも声をかけます」
「その彼もですね」
「すぐに行きますので」
「では」
「はい、今から」
こうしてだった、優子は電話を切るとすぐに院長のところに赴いた、院長は彼女が自分の部屋に入るとすぐに言った。
「では」
「おわかりですか」
「この時が来ましたね」
院長も普段の温和なものはなく戦場に向かう者を送る顔になっている、そのうえで優子に対して言うのだった。
「それでは」
「はい、行ってきます」
「妹さんを助けられますね」
「必ず」
優子は軍人ではないので敬礼は知らない、しかし軍人の様な顔でだった。
院長に一礼してだ、そのうえでだった。
院長室を出ると龍馬の携帯に電話をかけた、だが彼は放課後の時間であるせいか出なかった。それですぐにだった。
八条学園高等部の職員室に電話をかけてだ、龍馬に連絡して欲しいとお願いした。すると二十分位してから長崎に行く用意、既にそれは整えていたので出発しようというところに龍馬が携帯に連絡をしてきた。
「すいません、部活に出てました」
「そうだったのね」
「職員室にいた先生が部活に来て言ってくれました」
「そうなのね」
「あの、やっぱり」
「もう用意は出来てるかしら」
「家に」
「そう、じゃあ私はもう出られるけれど」
優子は龍馬に自分のことも話した。
「龍馬君はまだ時間がかかりそうね」
「もう部活抜けます」
「それでお家に帰って」
「すぐに出ます」
家ではなく神戸から、というのだ。
「それで」
「わかったわ、一緒に行く?」
「いえ、俺を待ってたら遅くなります」
龍馬は優子にすぐに言った。
「ですから」
「私が先になのね」
「行って下さい、俺が行くよりも」
「私が行った方がというのね」
「ずっと役に立ちますし」
「そのことはわかったわ、ただね」
「ただ?」
「龍馬君がいてくれたら」
自分よりも、と言う龍馬に言うのだった。
「あの娘が助かるから
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