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SAO−銀ノ月−
第百二十五話
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のか?」

「だからよ。店売りのものより、冒険で手に入れた方がユウキも喜ぶわ」

「……なるほど」

 脳裏に焼き付いたユウキの姿を思い出すと、確かにリズの言っていることも、あながち冗談だと一言には切り捨てられず。こちらが納得したような様子を見せると、リズは満足げな様子を見せつつも、どこか遠くを仰いでいた。

「冒険して見つけた花を供えて、ユウキに言ってやるのよ。あたしたちはまだ、ここにいるってね」

「ああ見えて心配性だからな。そうでも言っておかないと、心配で帰って来ちゃいそうだ」

「そういうこと! ……で、実際、見たことある? これ?」

 ユウキにいつまでも心配されないように――という思いが共通して、お互いに軽口を叩き合った後、俺の手のひらの中にある花びらを見る。こちらより身長の劣るリズにも見えるように、少しだけ手を下げて二人で花びらを見下ろすものの、お互いどうにも望んだ答えを得られそうになかった。

「ないな……リズは?」

「あたしも……ちょっと」

 どちらも記憶を探ってみるものの、とんとその桜のような花びらに覚えはなかった。原因は、最近このALOは現実と同じように春の気候に移行したばかりのため、動植物も新たに芽吹いているからだ。これが浮遊城の中であれば、文字通りに昔取った杵柄があるのだが、あいにくとここはALOのエリアだ。

 しかもただのALOのエリアではなく、新生ALOになるにあたって開発された、浮遊城との境たるイグドラシル・シティ。眼下に臨む旧ALOとはまた違う、独自の気候を備えている。その上、かなりの広さもあるという、分かりやすいお手上げだった。

「花壇……っても色々あるわよねぇ、この街だけでも」

「プレイヤーメイドの花屋も含めたら更に、だ……というか」

 そんな事情もあり、花が咲いているところを総当たりなどとやっていれば、日が暮れてしまうことは安請け合いだ。どうするか考えている間に、ふと、ある可能性に行き着いた。

「……誰かの花壇から零れてきた花びらだったら、その花を供えられなくないか」

「…………余計なことまで考えすぎちゃうのは、あんたの悪い癖よ。ショウキ」

「ほっとけ、自覚してるから」

 盛大なリズの話題そらしはともかく、見つけてもいないのにそんな盛り下がることを考えるな、というのは一理ある。もう一度花びらを見つけた後、その花びらが飛んできた方向を確認する。

「あんた風魔法使ってるでしょ? 風の軌道とか読めないの?」

「今やってる」

「まあ、そうよねー……やってるの!?」

 ――もちろん、無理だ。強いて言えば、風魔法によって発生した風ならまだ分かるが、それはあくまで自分の魔法によって発生した風であって。強風にあおられ
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