暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/PhantasmClrown
MySword,MyMaster
Act-2
#1
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術を何重にも彼女にかけ、予備の護符も持たせた(防御魔術とその護符への付与は、僕が得意とする数少ない魔術の一つである)。
 けど足りない。

 本当に、自分でも、良く分からないくらいしつこくて気持ち悪いと思う。でも、好きな女の子が危険な場所に飛び込んでいくのを、何もしないで見ていられるほど僕は冷酷で合理的な人間じゃない。そうは成れなかった。なるべきであったんだろうけど、甘ちゃんである僕には残念だが無理だった。

 圧倒的な実力をもつセイバーを、半ば無理やり召喚した。これでもまだ足りない。
 
 何かあった時に、彼女を直接助けに行ける――僕自身の命を犠牲にしてでもそれを成す。そのくらいのシステムを、何としてでも構築したかった。

 だから今、全力を持って鏡面界の解析に挑んでいる。
 僕の数少ない得意分野にして、恐らく唯一の取り柄がこの『術式のハッキング』だ。時計塔のロード・エルメロイ教室とやらには、この分野の天才と目されている魔術師がいるらしいが、僕のそれは彼のそれとはまたちょっと違う路線のモノになる……と思われる。
 僕の魔術ハッキングは、術式に介入し、内面を理解し、骨子を写し取り、そしてそれを利用して『まるで違う魔術を別に構築する』というモノだ。完成したそれをどう扱うかはある程度融通が利く。

 鏡面界を僕が自前で観測できているのもこれのおかげだ。これによって鏡面界のおおよそのマップみたいなのを作成して、そこにゲームのミニマップみたいに様々な情報を表示させることでどうにかしている。まぁ、実際の所はプロテクトが重すぎて、『サーヴァントがいる』『マスターがいる』『生きている』『死んでいる』『どのくらいの体温か』『どのくらいの魔力か』みたいなことしか分からないんだけど。これで映像を結んだり、向こうにアクセスできれば完璧なんだけど。

 父さんには、それが出来た。父さんは敵の魔術を悪用し、逆に乗っ取ることができるほどこの術式ハッキングの天才だった。どんな魔術でも思いのままだった。
 僕はその領域には居ないし、父さんの様にはなりたくはない、と常々思っているが故にその領域に到達するつもりもなかった。でも今、その必要があるのであれば、僕は喜んでその道を行く。

「熱源、移動――グレーシャとセイバーが行動を開始しました。どこかへと移動していきますね……」

 愛する僕の騎士を、少しでも護るために。

 これでも昨日、雪華がログインするまでは、熱源を写すことすら不可能だったのだ。ちょっとは褒めてほしい。


 ……話が逸れた。さて、雪華が今、何処に向かっているのか。推測するために行動しよう。
 彼女と思しき熱源を写したミニマップを広げる。行く手にあるのは――

「……!」

 熱源、もう一つ。膨大な魔力。雪華の隣にあ
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