Side Story
少女怪盗と仮面の神父 41
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限だと仰ってましたし。ここは一つ彼女の将来性を買って、試しにお持ち帰りしてみませんか?」
「ふむ。使える人間は多いほうが良いのは事実だな。しかし、バーデル軍がどこから現れるか分からない状況下でどうやって持ち帰る? 見つかったら終わりだぞ」
「あんまり現実味はないのですが、可能性に賭けてみようかと」
「可能性?」
訝しむ王子へ頷き。
イオーネの右肩に顎を乗せているアーレスト神父の前で、両膝を突く。
「神父様」
呼びかけても反応はない。瞬きすらしない。
暗闇の影響もあって、髪と目の色を失くしたら、まるきり本物の彫刻だ。
しかも、全身ずぶ濡れ。不気味すぎる。
「……そのままで良いので、話を聴いてください」
女神へ祈りを捧げるように重ねた両手で、短剣の柄を強く握りしめた。
「神父様がここまで導いてくださったから、私の苦しみは自業自得だったと理解できました。本来なら私こそがこの場で断罪されるべきだと思います。でも、私を護る為に命懸けで戦っている人達がいます。心配しながら帰りを待ってくれている人達もいます。私はまだ彼らに何も返せてない。護られ、奪っていただけで、良くも悪くも何一つ報いていないのです。このまま死ぬなんて嫌。私のせいで誰かが死ぬのはもっと嫌。極刑を避けたいだけだろうと責められ、卑怯者と罵られても構いません。いつか、私が苦しめた誰かに殺されるとしても、息絶えるその前に、可能な限りたくさんのありがとうとごめんなさいを形にして、みんなへ返しておきたいんです。ここではまだ、死ねない。死にたくない。死なせたくない。だから、お願いします」
一旦言葉を切って長く息を吐き、吸って……止める。
アーレストの横顔をじっと見つめ
「私達を、助けてください」
使い慣れない音を並べた。
緊張で手のひらに汗が滲む。喉が渇く。
(でも、だからこそ、シャムロックが犯した本当の四つ目の過ちは、きっとこれ、なんだよね。多分)
シャムロックは、誰にも頼らなかった。
みんなの為だと勝手に思い込んで暴走するくらい、誰も信じてなかった。
そうして、顔も名前も知らない被害者を大勢生み出した。
相談するべきだったのだ。
シャムロックのことも、仕事探しのことも。
ハウィスや村の人達の役に立ちたいと願ったことも全部。
周りの人達に、正直な気持ちを打ち明けるべきだった。
(今更だけど相談しろって言ったのは貴方だもん。都合良く頼ってやる! 無視はしないでよ? 誰かに頼るのって、かなり度胸が要るんだからね?? ああ、嫌な汗が止まらないーっ!)
腹黒い策士とか、あんた呼ばわりとか、ド阿呆とか。
散々な言い様をした相手に助けを求めるなん
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