暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/PhantasmClrown
MySword,MyMaster
Act-1
#2
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都合の悪いことに…そしてこれが、僕が冒頭のモノローグで恥ずかしいことを色々いった理由でもある…、マスターに選ばれたのは、当主たる僕でも、幹部たちでもなく。

 グレーシャだったのである。

 
 思い出せる……そして思い出すたびに頭が痛くなって悲壮感が僕を取り巻き始める……ああなんてこった、よりにもよってなんでグレーシャ、理由が良く分からない、と、あの日何度思った事か。

『そういえば。裕一、私、令呪が発現しました』
『ぶほぁっ!?』

 グレーシャに紅茶を淹れてもらって飲んでいた時に、唐突に始まったカミングアウト。本当ですよ、などといってぷちぷちとシャツのボタンを外し(!)、その白い胸元をあらわにした(!!)グレーシャ。確かに、その双丘の間に、羽を思わせる、三画の紋様。令呪――これまでの聖杯戦争の記録から類察するに、マスター位階第七位であることを示す令呪だった。

 令呪を機関内の別の魔術師に移すべきではないか、という意見も出た。彼女より強力な魔術師は幹部たちの中には何人もいるし、体裁的にはそれこそ僕がマスターとして参戦しなくてはならないまである。

 だけれど。

 ――もう一つ、最悪の問題があった。



 ***



「じゃぁ、再確認するよ」
「はい」

 従順に、短く答えるグレーシャ……いや、戦闘態勢(ぼくのてごま)である今は、雪華、と呼ぶ……の姿を見ていると、胸が痛くなる。愛する少女を、場合によっては生きて帰ることのできない死地に追いやる事への不安。どうしてこのような形でこの万能の願望器の奪い合いは開催されるのか、という、理不尽に対する怒り。

「此度の聖杯戦争は、この地球とほぼ同座標に出現した()()()()()――似通った性質を持つ原理から時計塔が命名したそれによれば、『鏡面界』、と呼ばれる世界で開催される。
 解析の結果分かったことは以下――鏡面界に入ることができるのは、『はじめに選出されたマスターたち』と、『はじめに召喚されたサーヴァントたち』だけ。令呪の受け渡しや、サーヴァントの再召喚は不可能。そして、鏡面界から出てくることができるのは、『生き残ったマスターとサーヴァント一組だけ』、ということだ」

 ――そう。それこそが、僕がこの事態を以て最悪、とする理由。

 霊子によって形成された仮想世界で行われる、サドンデスマッチ。それが、この『鏡面聖杯戦争』の正体だ。最後の一基になるまで殺し合い、最後の一組だけしか、生き残ることは叶わない。
 サーヴァントとマスター、そのどちらもが、殺害される。ギブアップは、不可能。

 本当に訳が分からない。誰が考えたのかは知らないが、これではマスターに選出されるということは、よほどの英霊を召喚するか
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