第6章 VS感情
20 そして、本当の友人を確かめる
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ズルズルと、ゆっくりと進んでいた。武偵高まであと15分ほどだろうか。
夕方のオレンジの光を受けながら人の通らない路地裏のような場所を俺は歩いている。夾竹桃の肩を借りて、ただゆっくりと、歩いていた。
「ねえ、もう少し力入れて歩いてくれないかしら。貴方かなり重いのだけど」
「・・・・」
俺は顔を伏せ、ただ引きずられるように歩いていた。だが、そんなことも気にする余裕もなく、俺は後悔の念に襲われている。
俺はもう、どうなってもよかった。
友人を裏切る。その行為を始めてしてしまった感覚はあまりにも苦しくて、辛かった。
急に吐き気が襲ってきたり、目の前が真っ暗にもなった。
それほどまでに、俺にとって彼らは掛け替えのない宝だったのだと失ってから気づいた。
一年の頃の俺にとって、本当の友達などいなかった。
あるのはEランクへの差別と暴言。
知りもしない、見たことすらない生徒から見下される日々。
なにもしていないはずなのにくすくすと笑われる毎日。
あのころの俺の心はズタボロだった。
毎日毎日、常に誰かに見下され、笑われ、怪我ですら馬鹿にされてしまう。そんな毎日。
だからこそ、友人はいらないと。友人なんかできないと思っていた一年。もちろん、俺に友人などいるわけがなかった。
しかし二年次の始業式当日、俺は初めての友人ができた。
峰理子。あいつは俺の力を試すためにやって来たのだが、それでも友達になってくれた。
素直に嬉しかった。初めての友達という響きに心が嬉しくなって踊った。武偵殺しだと分かった後でも、その気持ちは変わらなかった。
そして、アリアとも友達になることができた。
その時の俺はSランク武偵のことが嫌いだった。才能がある者というだけで嫌な気分になっていた俺は、才能がある人間とは友達にはなれないとそう思っていた。しかしそんな俺にできたSランクの友人。正直悪い気持ちはしなかった。アリアが身分を気にしない性格だったからだろう。アリアと友人になれたことが素直に嬉しかったんだ。
次に、夾竹桃。
俺のタイプドストライクなどといつもふざけて思っていたが、本当に魅力的な女性だと思う。最初は俺に重労働をさせ自分は優雅に暮らすようなダメ女などと思っていたが、それだけで人は判断できないと分かった。なんだかんだと言いながら、結局は人の心配をするような優しい奴だとわかってから夾竹桃の良さをもっと知ることができた。
それからも俺はその性格が好きで何度も夾竹桃を訪れた。毎回行くたびに一言文句を言われてしまうが、愚痴を最後まで聞いてくれるいい奴で、いつの間にか一緒にいることが多くなっていった。
ジャンヌだってそうだ。突然現れたと思えば、変なことをすぐに言い出すような面白いやつだった。Eランクの俺なんかにも気
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