第6章 VS感情
17 事件の前準備 感情偏
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「・・・死ぬ」
肩と肩がぶつかるほどの人だかりの中、思わず呟いて空を見る。手が震え、足が進まない。折れた左足が唸るように痛む。本能が先に進むなと言っているように、俺の体は動かなかった。
夜なのにワイワイと騒がしいなか、空には七色に輝く光が次々と出ては消え、出ては消える。周りの叫び声も様々だ。俺には悲鳴にしか聞こえなかった。
俺の横を通った子供連れの母親が俺をチラッと見るが、すぐに興味がないように別の方へと子供ごと視線を変える。その顔は両方共楽しそうに笑っていた。俺なんて元からいないように、不自然に目線を変えるんだ。
怖い
こんな感情久しぶりだった。体がゾクッと震え、考えがまとまらない。
どうしてここまでの悲劇を起こせるのか、一体どうしたらここまでの被害を生み出せるのか。
俺は心の中で絶句し、手の上にあった袋を思わず地面に落としてしまう。
音を立て落ちたその中から残った金銭が少しだけ出てきた。・・いや、もういまさらそんなことはもうどうでもいい。
どうしてこうなった?何度も自分に問いかけた。なぜ、どうして俺はあいつの提案にすぐ乗ってしまったのかと後悔した。
裏切られた。そう思い奥歯を噛みしめる。もし受け入れなければ、失うものは何もなかったのに。どうしてー
先の方で俺を呼ぶ影が見える。それは俺にとって死を呼ぶ声と同じだ。体がビクッと震え、ゆっくりとそちらに歩き出す。行きたくないという気持ちをぐっと堪え、一歩、また一歩と進んでいく。
そこには3人の手練れが銃を持って集まっていた。それぞれがそれぞれの構えを取っている。俺も手渡された銃を受け取り構える。
額の汗を拭うことも出来ず、ただ標的に狙いをつける。
バクバクと心臓が音を立て、呼吸が荒くなる。目の前の標的に標準が合わない。
そしてーーー
「はい、またしゅーちゃんの負け!今度は焼きそば奢ってよね!」
「私は甘いものがいいわ、ごちそうさま」
「うむ、私はわたあめがいいぞ。よろしく頼む」
「お前ら・・・悪魔だ」
俺は人の家系事情を無視して命令しだすバカ共3人に向けて本気で殺意を放ちながら、涙を流した。
話はこの日の1日前に遡る。
ーーーーーーーーーー
「花火大会?」
「そ!明日あるんだって!行こうよしゅーちゃん!」
「・・・」
アリアとキンジがやってきた日からさらに二日前ほど経った今日、もういつものテンションに戻った理子が花火大会のチラシを持ってやって来た。
ちなみに、最後の無言は夾竹桃だ。今もせっせと原稿作成に勤しんでいる。
俺は書いていた原稿から筆を離し(また新しい仕事を任されたのだ)理子の持ってきたチラシを見る。
「こんな時
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