第6章 VS感情
16 一番いい終わらせ方
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ないととも思わなかった。いつもうるさいのが隣にいるからだろうか。こういうのも悪くない。それに
「なあ夾竹桃」
「なに?」
話しかければちゃんと返してくれるしな。それなら全く問題ない。
「お前さ、オムライスにかけるならケチャップ?ソース?」
「・・ケチャップ」
こんなどうでもいい会話にも返してくれる。夾竹桃はいい奴だ。書きながらだが、そこも全く問題ない。
「まじかよ。普通ソースだろ」
「卵の黄色に黒のソースは見栄え悪いじゃない」
「食えれば一緒だろ。それにケチャップはチキンライスに入ってるじゃん、わざわざ上にかけんでも」
「・・それもそうね」
「な、だろ!?」
「でもだからってソースはかけないわ。食べれば一緒ってところには同意しないわよ」
「な、なんと!?」
これが男女の違いというやつだろうか。見栄えなんて気にしたことないぞ。うまければそれでいいのだ。・・そういやリサもソースかける俺を変な目で見てたな。・・俺がおかしいのか?
と思っていると、夾竹桃は書いていたペンを置くと、机の上にあった、俺の飲み干したヤクルトの容器に、自分の持ってきたお茶を注ぎ入れる。
ヤクルトの容器が緑色の液体(緑茶)で染まる。・・うぇ
「これ、ただのお茶だけど、飲みたい?」
「い、いやあまり・・」
「どうして?ヤクルトの容器だけど、飲めば一緒よ?」
「・・うう」
確かに言う通りただのお茶、なのだが、ヤクルトが緑色になっているような感覚で、ちょっと飲みにくい。
夾竹桃はほらね、と続けた。
「見栄え、大事でしょ?」
「無茶苦茶大事ですね」
見事に論破されてしまった。お互いに何の得もない対話なのに、なぜかくやしい。く、くそう。
夾竹桃は満足したように頷くと、さらに俺の方に紙を渡してきた。
「じゃあ、作業お願いね。まだまだあるから、頑張って」
「くうう・・・了解」
それからしばらく、またお互い無言で作業をする。しかしこれ、面倒くさいが慣れてくると面白いな。やり方のコツとか、クセとかわかるとだんだんと作業効率も上がってくる。
まあ
「まだまだね。ここ、はみ出てる」
「おま、これくらいいいだろ?細けぇな」
「いいから、直しなさい」
「へーへー」
夾竹桃先生の評価はかなり厳しい。少しのミスも逃さない。妥協を許さないところはとても、共感できる。こいつも、努力してるんだなと感じた。しかも
「ここいいじゃない。上手くなったわよ」
「お、まじ!?やった」
別に俺が素人だから全て否定してくるわけではない。ちゃんとうまくできた部分には気づいてくれる。
これ、夾竹桃先生にハマるかもしれない
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