第5章 VS???
15 峰 理子の気持ち
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してあげよっかな。
私はこういう時イタズラをしたくなるタチだ。わ!とでも叫んで脅かすか。耳元で「大好き」と囁いてあげよっか。・・くふ、どちらにしてもいい反応してくれるよね、修一は、あ、それとも胸を強く押し当ててーー
「・・ぐ、はぁ、っ、う、ううう、はぁ、はぁ」
私は考えるのを中断して修一を見た。そして、驚いて目を見開いた。修一は目を虚ろにし、額の汗も拭かないまま、ズルズルと片足を引きずって歩いていた。ただ一点を見つめ、何も考えずに歩いているようだ。前すら向いていない。
「ちょ、修一!!大丈夫!?ねぇ、修一!!」
慌てて修一に声をかけ、肩を叩く。しかし修一はそれに気付かず前に進み続ける。周りを見ると、近くの看板に『高妻山入り口』と書かれてあった。ということは、修一は私が寝てからずっと、ひたすら歩き続けたことになる。折れた足で、私を抱えて。
サァッーと血の気が引いていく。
そうだ。今思い返せば修一は私もよりも重症でありながらも私にそのことを一言も言わずただ背負ってくれていたんだ。おそらく、いや確実に理子を眠らせたのはこの姿を見せないためだ。
「修一!ねぇ、修一ってば!!聞いてよ!!お願い、修一!!」
強く呼びかけながら、前の私に酷く後悔していた。修一が一生懸命足を動かしているのに私はー
『・・・・しゅ、修一、理子・・お、重くない?』
そんなことを気にする暇があったら修一のために無理にでも歩くべきだった!
『怒ってないの?武偵殺しの影武者にしようとしたこと』
山を下りてからでも聞けたんだ!なにをしてるんだ理子!
修一の足はもう限界をとうに超えているんだ。意識が朦朧とするほどに、痛みもあるはずなのに
それなのに、修一はーー
『ばっか、んな事どーでもいいんだよ。理子が重かろーが軽かろーが怪我してるんなら背負うって。いいから黙って背負われてなさいよ、これ強制』『そのままの峰 理子で、いいんじゃねーの?』『寒くないか』『足、痛くないか?』『喉、乾かないか?』『そっか、よかった』
私の、心配してばっかり!どうして気づかなかったんだこのバカ!
「・・あ?・・ああ、理子、おはよう。足は痛くないか?」
修一の肩を叩き続けてようやくこちらを振り向く。しかし、目線が合っていない。それなのに人の心配をする辺り、本当に修一は凄いと思うが
「そんなこといいから、下ろして早く!それと足見せろ!」
「んあ?・・ああわかった」
ぼーっと立つ修一から下りて近くの木に寄っかかって座らせ足を確認する
「ーーッ!?」
修一の足を見て驚く。皿の部分に巻いてある生地が赤黒く染まり、そこから下に肌が赤く染まっている。座っているにもかかわらず足が小刻みに震え
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