第5章 VS???
15 峰 理子の気持ち
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合じゃないのに、どうして、どうして人の心配ができるんだろう。
私がそう返すと、修一はポケットからなにか四角いものを取り出し、渡してきた。これは?
「・・平賀作の『あったか毛布 コンパクト』だ。ボタンを押して広げたら体を包め、それで、あったかく、なるぞ」
ーートクン・・トクン・・トクン
修一に言われた通りにボタンを押す。すると手のひらサイズだった正方形のものが一瞬で広がり、小さい毛布になった。
それを体にかけてみると、すぐに暖かくなった。外とはまるで違う。1分も経たず体がポカポカしはじめた。
いや、ちがう、元々、ポカポカはしてたんだった。修一の言葉には、理子を暖かくする効果があるようだ。
ーートクン・・トクン・・トクン・・トクン
修一の汗ばんだ背中にくっついて目をつむる。
先ほどから胸の鼓動が激しい。
おかしなくらいに聞こえてくる。今まで感じたことのない、初めての感覚。
でも、知ってる。
この気持ち。この感情。 そしてわかった。今の私のこのポカポカの正体。
アニメとかだと絶景を見ながら隣にいる男子にこう思ったりしてたんだけど、現実っていうのはそうロマンチックにはならないんだなと初めて知った。
昔はロマンチックじゃないと、こんなこと思うわけないよねなんて思ってた。
というより私がそんな風に思う男子がいるなんてことすら思ってなかったんだ。
でも、
それでも。
いまそれが、目の前にいる。目の前で、私のことを心配して、あたしだけを見てくれている人がいる。
それだけで絶景とか、そんなのいらないって思えてしまう。
そう、私は
峰 理子 は
岡崎修一のことが、
「・・・好き」
そう
好きになって、しまったんだ。
そう自分で理解したとき、
途端に恥ずかしくなるなと感じると同時に思わずニヤニヤと笑ってしまった。
もちろんセコイ男は嫌だってのはまだ思ってる。デートだって割り勘だろうし、プレゼントなんて絶対くれないだろう。
でも、それで全然いい。
むしろ、奢るよなんて言われたら修一じゃないみたいで嫌かもとすら思ってしまった。
いま顔を埋めている背中も、下山のせいで汗まみれで正直匂う。
匂う、けど、嗅いでいたくなるような・・だ、ダメだ理子、それはもう変態に近いよ!?
好きになると、ここまで考え方が変わるのか。と初めての感覚に新鮮な気持ちになる。
「ね、ねぇしゅーちゃん?」
「・・どした?」
「・・・んーん、呼んでみただけ」
「あざといな、お前それ俺じゃなかったら勘違いするから他の男子にはしないこと、お
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