第5章 VS???
15 峰 理子の気持ち
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った。あ、そうか。「大丈夫なら歩けよ!こっちはお前に上着まで貸してて寒いんだぞ!」って返してくるのーー
「・・喉、乾いてないか?」
「え・・うん」
修一は、私の考えと裏腹に、そんなことを言ってきた。・・い、いや。私だって修一のことは理解してるつもりだ。こいつは自分のこと第一優先の男だし、きっと「俺は乾いてるんだから次の水飲めるとこまでお前が俺を乗せて歩けよ」とかーー
「・・・足、痛くないか?」
「・・・・うん、大丈夫」
・・やめよう。これ以上修一をバカにするのは本当に失礼だ。私の中の修一が変だった。
修一は、本当に私のことを気遣ってくれている。
そうだった。そもそも自分第一優先なら無理矢理な依頼をあんな全力でやってなんてくれない。修一はなんだかんだ言いながらも、しっかりとした奴だ。だから私も面白いって。・・酷いのは私の方だ。本当に理子、性格悪い。
「・・腹、減ってないか?」
「うん」
「・・ほかに・・っ、痛いところ、ないか?」
「・・ないよ」
「・・・頭痛くない、か?」
「大丈夫、だよ」
「・・そっか、よかった」
「・・うん」
聞かれるたびに、私の中で、何か暖かいものが弾けていく。
膨らんだふわふわの生地が一気に破裂したように、体がポカポカしだす。
そっか。これが、
心配されるって、ことなんだな。
私は本気で心配されたことがなかった。
幼少期はブラドという貴族の元で監禁されて生活してきた。
ろくにごはんも貰えず、服もボロボロの布一枚だけ。
そんなことする相手が私を心配することなんて一度もなかった。学校でもそうだ。女子は皆、男子と仲のいい私に対して、あまり気兼ねなく接してくれるわけでも無かった。
もちろん中にはそんなこと関係なしに友だちになってくれた人もいるが、それでも心配してくれるようなことはなかった。
男子でもそうだ。私が怪我したりして駆け寄ってくる男子の顔を見ればすぐに欲丸出しなのが分かってしまう。
そんな心配は、私の望む心配じゃない。もっと、そう、ドラマとかほのぼのアニメとかでよくある
『家族』のような、心配。
それが、私のしてほしい心配で
それをいま、このセコ男が、自分のことを顧みずにしてくれている。
それがとても、とてつもなく、嬉しかったんだ。
ートクン・・トクン
初めて、私だけに対して言ってくれた言葉の数々が、心に突き刺さる。
気がつくと、私の目から涙が溢れていた。気がつくと次から次へと流れてくる。
私は、思わず汗まみれの肩にしがみついた。
「どう、した?・・やっぱ寒い?」
「・・ん、ちょっとね」
息も絶え絶えなくせに、人の心配なんてしてる場
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